国家の経略

「凡そ国家を経略(けいりゃく)しその彊土(きょうど)人民を保守するには、深慮遠謀なくんばあるべからず。故に進取退(しんしゅたい)(しゅ)は、必ずその機を見て動き、その不可を見て止む。恥ありと雖も忍び、義ありと雖も取らず。これその軽重をはかり、時勢を鑑み、大期する所以なり」 

実情を無視して目標に直進するのは空論であり、状況に埋没して目標の展望を欠くのも因循(いんじゅん)姑息(こそく)である。同様に、いずれも目測能力の不足を示すものである。不可と見れば潔く転換し、決して無理押しはしない。そして機会の来るのをじっくり待つ。義と見ても時に行わない。恥と見られても、敢えて動かない。時勢を待ち事を成すのでなくては仕損じるのである。

 佐々木高行の言葉

                  平成19125

                   徳永日本学研究所 代表 徳永圀典