126日 本なかりせば

 それにしましても、もし世の中に本というものが無かったら、人間はどうなるのでしょう。よく偉い人のほかは、実にくだらぬことばかりして、無駄な苦労をして途中でへこたれたり、精神病者になって心を悩むかもしれません。少なくとも何より寂しいでしょう。

しかし書物の氾濫も困ったものであります。殊にこの頃のように、安っぽい新聞、パンフレットや大衆の俗な心理に挑む劣悪な週刊誌など、こんなものは「書」の中に入りません。