今こそ 新日本鰍 平成12年11月7日 日本海新聞潮流に寄稿


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クリントン政権の初期、米国貿易収支は大赤字で自動車を初めと
して制裁、制裁と叫び次から次へと市場開放を激しく要求された。 現在も依然として大赤字で本年度は4千億弗と史上最高が予想 されている。我が国が米国に巧妙に且つ覇権的に金融を封じこまれ たのは政治と当局に責任がある。私が3年前から本欄でしばし ば指摘してきた通りだ。ルービンとサマーズというコンビでウォー ル街を軸にマネーのヘゲモニーを完成し、金利と為替と株式に より日本の金融封じ込めに成功した。米国はもはや貿易で日本を責め立てなくてもいいのだ。

今や米国は国債依存脱却の端緒を得たと
言われる。米欧の市場からマネーを十分賄い日本依存は過 去の産物となりつつあるやに見える。それどころか米国投資家は日 本の株式、国債投資の最大手となった。マネーを制するものは世界を制する。近頃、米国が優しそうに見えるのはマネー戦争の勝利の 余裕である。ここ10年の日本は全くなすすべもない完敗でありナ  イーブな我が国の経済外交を見せつけられた。然し、日本はここ1 年間に米ドル買い支えに10兆円使ったと言う。米ドルは本質的に は依然として問題を孕んでいる。
 
A
このマネー戦争の課程で感じるのは米国でも中国でも国益を守る
為にありとあらゆる術策、詐術を講じて責め立てるという事だ。日 本の大マスコミも彼らに巧く利用されている。最初は言葉で相手の 嫌な事を主張する。これは外交交渉の常套手段である。ここでひるみ引っ込んでしまうのは日本の政治家、外務省だけでなく大手のマ スコミもそうだ。

初めから大マスコミが相手の主張に負けているば
かりか、相手に媚びてすり寄っている記事さえ見る。台湾の陳大統 領就任前後の発言を想起するとよい。あの実に緻密で周到で隙のな い発言にさすがの中国も手も足もでなかった。政治とか外交は緻密 に論理を構築し発言しなくてはならぬし、時には命懸けの覚悟を要 しよう。
この点、日本はナイーブで外交交渉が素人の域である。米
国NASAによる世界的盗聴は有名だ。米国に一方的に負けるのは このような諸点で甘いからだ。米国とは友好国であるべきだが国益 上、民族として言うべき時には断固として主張しその上で妥協点を 探るのでなくてはなるまいが全く見えない。近隣諸国に対しても当 然だ。日本の政治家、国家官僚よシッカリセイと言いたい。

B
戦後、成功した日本は日本鰍ニ言われてきたが1990年代
に米国に研究し尽くされ、攻め立てられて簡単に倒産した。政官民 の癒着と叩かれ又、それをナイーブに受けとめたが故である。

米国
を見るがいい、世界銀行、IMF、ウオール街、財務省の米国金融 複合体は緻密である。彼等は秘密を守るのに長けている。ボロを出 さない、巧妙なのである。国益上、政経一致は当然なのだ。その点 、日本は一人一人の個人的能力は高いが純情で秘密が守れない。日 本国の政財官の指導者よ、そのような点こそ米国に学べと言いたい 。国益を守るのに遠慮は要らぬ。国民資産が収奪されるままでいい のか。
 
C
約百兆円と言われる日本保有の米国トレジャリーボンド現物は日
本政府の手元にはない。米国連銀の金庫に保管されている。使えな い事と同じだ。これが現実だ。

D
新生銀行も経営はブラックボックスだと見る。同行は米国にいる
非常勤役員に57億円の情報提供料を支払おうとした。米系金融機 関のアクドサを見る。同行の融資量が激減しているが、さもありなん。 欧米の金融機関の手口は一部出資者の為で日本のような経世済 民の思想を持たない。こんな米国式経済に席卷されてよいのか。
 
E
さて、米国の手口は、ここ10年ですっかり分かった事と思う。
彼等こそ正真正銘のアメリカ鰍ナあった。もはや米国に遠慮は不要 。眼を覚まして政治家も国家官僚も企業家も立ち上がれ!今度こそ 米国に負けない秘密の守れる新日本鰍作れ。負けるな!と叫びたい。

           鳥取木鶏クラブ 代表 徳永圀典