政治に効率を要求する 平成13年2月23日 日本海新聞潮流に掲載

1.民間企業は効率が悪いと倒産に到る。それは、ここ10年のいわゆる市場経済の浸透で多くの国民は如実に知らされた事と思う。

2.同様に政治も効率が悪いと究極的に国家の倒産に到る。既に、ここ10年、政治的には倒産に近い日本国である。政治が良いと経済のみならず教育、道徳面にも好影響を与えるのは言うを待たない。

3.政治を代表とする公的職務の分野がわが国に残された最も非効率、非合理の分野である。既に新公務員法を視野に入れているので次第に国民的テーマになると思われる。これは平成の公職維新である。わが国の未来はこれにかかっている。明治維新で武士は既得権を放棄したからこそ近代化が図れ現代の繁栄につながった。公的職務は現代の武士の立場である。別の言葉で、強いて言えば、現代のノブレスオブリージュであろう。高貴とは言わぬが身分保障があり公的職務に伴う公的、規範的義務の保有者だからである。政治家と国家中枢官僚がその最たるものである。彼らがその義務を果たしていない為にわが国の混乱がある。

4.さて、その政治だがイデオロギーによる政治の葛藤はもはやないといわれる。ソ連を本拠とした共産主義は、その壮大なる70年に及ぶ歴史的実験が大失敗に終わった。ソ連、東欧諸国の破綻に見る通りである。

5.20世紀の遺物、共産主義を除いて考えてみる。民主党は憲法改正を唱えた鳩山氏に旧社会党系の横道氏等が反対している。いろんな意見があるのは差し支えないが、ここにわが国の政治の悲劇を見る思いがする。自民党、保守党、自由党等は本来一党で纏まってよい筈だ。民主党の鳩山とか羽田一派は憲法改正派であろう。主義主張とか理念を基に党を組み早く21世紀の日本独自のビジョンを創れ、わが国の座標軸、言い換えればアイデンティティを喪失し漂流しているから外国に振り回されるのだ。外務省、議員外交などはその典型だ。ここに日本の悲劇がある。さもないと同盟国、ブッシュ政権に愛想をつかされる。政党人は仲良しゴッコをやっているのかと言いたい。悪事は検察に一任して国家的喫緊の課題を解決し国益追求に全力をあげよ。
お遊戯をしている間にわが国が変な方向にきてしまった。ここ10年の政党の離合集散は大きいロスである。政治の効率を要求したい。鳩山氏とか管氏等はリベラルとかいうが、どこがどお違うのか。本当の処はわからない。日本語で言えといいたい。理念でまとまれぬのは彼ら政治家に国家経営の真剣さがないからだと言いたい。つまらぬ面子とか利害打算で離合集散しているのは次元の低い政治家だ。それを容認できる平和な時代は終わっている。現在は平成の大乱の真っ只中なのだ。政治家は政治のお遊戯はやめて政治効率をあげて国の経営をしてもらいたい。

6.政経、国際金融等に重大な関心を持つ人間から見れは、民間は市場経済の濁流に翻弄され効率化しているのに政治のみ非効率であるのは許されない思いである。それは甘えがあるからだ。わが国には、もはや政治のお遊びの余裕はない。主義主張と理念でまとまって欲しい。野党も分かりやすい明快な軸足を示していない。どこが、どお違うのか、余り変わりが無いという事であろう。さすれば、理念を基にまとまるべき国民的、政治的義務がある。それができないのは政治が私で動いているからであろう。その私を乗り越えるのがノブレスオブリージュの政治家たる所以である。

7.平成維新の成功を期待する。平成維新は先ず、公的職務の効率化、合理化にかかっている。新公務員法は民間並の信賞必罰は当然である。民間、すなわち国民の多くは効率化の中で生きている。残るは、この公的部門の効率化のみである。

8.この動きは外郭団体はもとより地方に波及するのは必然である。そこに緊張と真剣さが生まれてよい結果が生じる。悪平等を脱して、崇高な名誉と奉仕の形而上的価値に重点を置いた競争社会に転換するまたとない機会になりうる。

9.時、恰も今年の大河ドラマは鎌倉時代の国難に敢然と対処した北条時宗だ。弱冠19歳の、あの圧倒的な迫力を政治にたずさわる人たちは学んで欲しい。素晴らしい先人がわが国にはいた。政治を選んだ人たちはノブレスオブリージュとして国民に奉仕するという崇高な使命を命がけで遂行する義務がある。             


       鳥取木鶏クラブ 代表世話人 徳永圀典