政治のスケープゴートになった銀行

1. 日本弱体化の本質は金融財政経済政策の失敗であろう。政治家と大蔵官僚にその国益背任罪的責任がある。米国のジャーナリズムは宮沢氏は一喝すれば態度を変えると笑ったという。これは先般のマネー危機の本質を突いている。日本は米国にいいようにされてきた。そのスケープゴートに銀行がされてしまった。政治は責任を銀行になすりつけて逃げた。

2.バブル期の銀行のビヘイビアーも指弾されても致し方ないものがあった。然し、借り方も儲かると思って捺印した筈だ。子供ではあるまいし甘い甘い、ムラの資本主義日本であつた。

3.米国は生き馬の目をむくような大臣、官僚が金融経済政策の当事者である。日本は、親方日の丸の、カネ儲けの経験のない政治家、官僚が取り仕切った。銀行は生きる上で彼らに反抗出来ない仕組みの中にいた。

4.バブル期直後の銀行の不良債権などとっくに償却済みである。大銀行は一行あたり5兆円は吐き出していよう。その後の金融財政政策の失敗により不況が進行し更に不良債権が積みあがったのだ。大銀行は国の経済の尻拭いをしているのだ。公金なくば、銀行の懐だけでは国家は破綻していた。

5.明治以来、日本は供給サイドの側、政府、政治家、銀行、大製造業が民に対して優位に立ち続けた。冷戦後、世界は、消費者サイドになっているのに政治が対応しきれていない処に日本の失敗があった。

6.銀行はここ百年の蓄積を国家の為にはたいてしまった。政治の犠牲にされたが、決して卑屈になる事はない。米国のような証券業は経世済民の思想が全くなく人類の幸福に寄与するものではない。

7.銀行よ、矜持を持って立ち上がれ。一から奮起して今度こそ独立独歩の道を開け。    完