孔孟の国、今は 平成13年7月12日日本海新聞潮流に寄稿 

@ 40年近く前、私は住友銀行で外資系企業を担当していた。欧米人はドライで、当然こちらも論理的対応となる。英語に曖昧さはない。それに比して華僑の中にはタイジン、大人と呼ぶに相応しい人物がおり尊敬した人物もいた。

A田中首相が日中国交回復をしたのは昭和47年で、周恩来と固い握手をした。周首相はシーシータイタイ、子々孫々までの友好を言い覇権を求めないと明快に述べ日本人は心から喜んだ。孔孟の国に対して、戦前派の人々は信仰に似た思いがあろう。日本文化の淵源であり一衣帯水で同文同種の思い込みもあった。同文同種ではないが。

Bさて、この20年間に日本は中国に対してOECDの援助を3兆数千億円、開発融資を3兆円合計6兆円を超える税金を注ぎ込んでいる。しょく罪の意味も込めて。百万円あれば家を建ててお釣りのある国に対してである。この事を中国は国内に知らせていない。中国の教科書は日本のように検定でなく国定なのだが算数の足し算に、戦争で日本人が中国人を殺した事例で教えているという。子供の時から反日を叩き込んでおるのは友好の意志のないのと同様である。

C昨年も今年も、日本周辺の領海を無遠慮に堂々と侵犯し偵察艦が周遊しスパイした。遠慮深い日本の抗議に中国の首脳は、そんなに嫌ならこれからは事前に連絡すると言ったものだ。

Dこの4月、米国偵察機が海南島に着陸した折の中国の発言は「中国にとり国家主権ほど大切なものはない」であった。教科書問題でも覇権的に日本を恫喝し内政干渉し不甲斐ない日本の政治家や外務官僚が怖気づいている。中国にとり主権とは自分の国の事だけで他国の主権など考慮にあたいしないようだ。そういえば、戦後だが意のままにならぬベトナムに懲戒と称して軍事侵入した事があった。チベット問題なぞ何でもないのであろう。

E数年前、江主席が来日し皇居で、非礼にも解決済みの謝罪を再び求めた。流石に日本人の大きい反発があった。国賓であり日本はあからさまに書き立てなかったが早稲田大学の学生は江主席の講演にブーイングしたと言う。新聞は書かなかった。

F文化大革命では数百万人が殺されたと言われる。朝日新聞が文化大革命を大変礼賛した。

G近年、中国の覇権的手法に対する日本国民の反発が高いからであろう、最近は国会議員達を北京に招き、中国お得意の大接待をしている。与野党を問わず国家の威信を考えない議員達は朝貢するように中国詣でをした。援助を得る為に国会議員を饗応し買収している図式に見える。

中国は日本国民の大多数の愛国心を右翼だとの一言で片付けている。そう言って一般日本人を萎縮させ政治家と外務省を叩くだけで意のままに日本を動かそうとしている。それが彼らの国益に適うのだ。国会議員と外務官僚を抱き込めば経済援助を貰えるとの打算であろう。一部大ジャーナリズムも中国寄りでそ知らぬ顔をしている。外務省も一部マスコミも中国の日本出張所のような感じがする。理不尽な話はまだ続く。

H中国の軍事力大増強は全く腑に落ちない。日本の援助が軍事力の大増強に役立っている。中国のミサイルは日本に向けているし領海侵犯はする。大陸国家に不必要と思われる航空母艦を検討しているらしい。海軍力の増強で覇権的領海侵犯をする。核保有でも、なぜ日本のマスコミを初めとした核反対派は中国に対して大声を挙げないのか。日本の核反対運動は矛盾が多い。戦後の日本が侵略的であろうか、戦後50年を正しく見ていないし言いがかりとしか思えない。彼ら独特のデマゴギーだ。経済援助は即刻やめたい。

Iソ連は70年の大実験で共産主義をやめたがあの国の混乱を見ると共産主義が人間性を破壊したことを示している。戦前派の人達が憧れた孔孟の国はもはや徳とか道義とは無関係な国となりイデオロギーに毒された人たちの国のようである。東洋思想のよい物は日本に到着し蓄積されており歴史的に見習うものは既に消え去っている。

Jこの様に観察してくると日本人がいかに国としての誇りを欠いているか明白である。総理の知らぬ間に検定用教科書の内容が元インド大使により漏れた。隙だらけの日本国となっている。

K李登輝氏の来日など国家として主体性を持ってやり遠慮する必要はない。中国は日本が事を起こしたと隷属国のような物言いをした。腰抜けの河野大臣、外務官僚であったが国民の良識が勝った。日本も言うべき事は断固として言わねばならぬ。

L最近は不法入国の中国人絡みの強盗や麻薬が多発している。政府が断固とした抗議をしたであろうか。聞いたことがない。鳥取は黄砂の被害が特に酷いし雪も中国の工業化の進行で煤煙が多くて口にできなくなつた。中国の工業化は地球規模で生態系に影響を及ぼすという識者もいる。法の支配が確立されていない非近代的な国である。実質的には発展途上なのに、大軍事力を背景に覇権主義が世界をかく乱し始めている。

M古きよき時代の孔孟の国はもはや無い。この迷惑な隣国に対して我々は幻想を捨て認識を改めねばならない時代となっている。  
                   鳥取木鶏クラブ 代表世話人 徳永圀典