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10月--お金社会学7お金と家庭生活のことわざ集 

10月1日 飽食暖衣逸居-いっきょ-して教えなければ禽獣に近し。孟子 気楽に過ごし腹一杯食べて、ぬくぬくと安楽に過ごせば鳥や獣と変わらぬ。何も学ばねば鳥、獣と変わらぬ。こんな青少年が増えている。
10月2日 家は必ず自ら毀-やぶ-る、然うして後人之を毀-こわす。 家の衰亡はまず主人の不始末に始まり、ついで他人がそれにつけこんで破産させる。
10月3日 家の身上-しんしょう-見るなら三代目の朝起き見やれ。 家の興亡は三代目いかんによる。その当主が朝早く起きて働くかどおかで占える。これは万事に当てはまる。
10月4日 念仏申すより田を作れ。 来世の極楽往生など実益ない事に熱中するより現在の実生活の利益を考えよ。
10月5日 会えば五厘の損がゆく。 人との交際には必ず費用がかかる。大阪地方の言葉。
10月6日 雨の降りだしと所帯の仕掛けとはこまかいがよい。 所帯の初めは地道に家計を営むことが大切。ベテラン家庭でも忘れまい。
10月7日 身上-しんしょう-は妻から。 一家の経済は妻の手腕に左右されるとは何時の時代も同じ。男で家内に収入を知らせず食費しか渡さないのは了見が狭いね。日本では離婚の遠因か。
10月8日 身過ぎは草の種。 生計の手段は草の種のように色々な方法があるものだ。
10月9日 総領十五は貧乏の世盛り。--総領子の十五のときは囲炉裏の灰も溜まらぬ。 長男が15の頃は家計は最も苦しい、貯金などおろか囲炉裏の灰さえ溜まらぬもの。心配しても始まらぬ。
10月10日 女七分-おんなひちぶ-に男三分-おとこさんぶ。 家庭での子供への感化力は母親のほうが父親より強い。
10月11日 家内和睦は福神のお祭り。 家中なかよく暮らすのが幸せや福を招く基。
10月12日 懐手-ふところで-してはすぎわいならず。 手を使う事なくして食べては行けぬ。すぎわい-生業-なりわい。
10月13日 垣堅くして犬入らず。 家庭が健全ならば外部からの誘惑にも負けない。
10月14日 家内喧嘩は貧乏の種蒔き。 家庭内不和は貧乏の原因。
10月15日 男伊達より小鍋だて。 男の面目などのつまらぬ意地をはるより一家の実生活を大事にしたほうが良い。
10月16日 天に録無き人は生ぜず、地に根なき草生えず。 地の草に根の無いものはないように、この世に人として生まれて生きる糧を得られないものはない。
10月17日 飲むに減らで吸うに減る。 酒を飲んで減らぬ財産も始終吸うタバコ銭で減らす。小口出費の馬鹿にならぬ例え。
10月18日 出遣いより小遣い。 まとまった買い物などの多額の出費より、日常のこまごました支出のほうが意外と多いものだ。
10月19日 五両で帯買うて三両でくける。 本来の目的よりも、それに付随したことに却って費用がかかるの例え。
10月20日 取り勘定より遣い勘定。 収入より支出に心を配るべきである。
10月21日 餅にいらず粉にいる。 餅よりもその取り粉のほうに費用がかかる。本筋の物よりも付随したもののほうに費用がかかる。餅より餡が高くなると同様。
10月22日 憂いも辛いも食うての上。 憂いとか辛いとかいう悩みも衣食足りての上のことで、衣食に事欠くようになれば、そんな不平も言ってもおられない、贅沢の内だ。
10月23日 衣食住の三つに止まる。 人間、何とか衣食住が事足りれば、いいとしよう。
10月24日 上がって三代、下がって三代。 親戚関係は、過去も未来も三代の付き合いでいい。
10月25日 備えあれば患-うれい-無し。 家庭でも備えあればイザという時に役立つ。いつの時代でも至言。必要な時代が近い。
10月26日 爺はしんどする子は楽する孫の代は乞食する。 祖父は苦労して財産作り、子は贅沢、孫の代は落ちぶれる。日本のようだ。
10月27日 児孫自ずから児孫の計あり。 子や孫は夫々自分の計画があるから親は心配せずともよい。
10月28日 金なき者は金を使う。 金持ちは一銭惜しみをしてケチるのに、無い者に限って浪費する。
10月29日 金と女は外に預けるな。 金も女も外に預けると預かった者が欲を出して自分のものにする。他人に決して預けるな。
10月30日 金が敵-かたき-の世の中。 世の中に起こる出来事はすべて金が原因で悩まされ、反目不和しあう。まるで金は仇の敵のようだ。
10月31日 夫夫たり婦婦たり。 夫々が行うべき道さえ守れば家庭平安、真面目に責任を果たせばお金が少なくとも生きていかれるものだ。キリストも言う、明日のことを思い煩うな、野の鳥を見よと。