12月--お金の社会学9 損得・利害
12月1日 | 明日の百より今日の五十. | 明日の不確実な期待より、今日の確実な事のほうがよい。 | |
12月2日 | 損と傷は癒え合う。 | 損は傷のように、いつか元通りになおる、取り返しのつかぬものでなく、何時の間にか埋め合わせがついている。 | |
12月3日 | 甘いものに蟻がつく。 | うまい話、利益のある所に人が集まる。 | |
12月4日 | 馬に乗るとも口車に乗るな。 | うまい話に気をつけよ。虎の子を取られるのは欲に眼が眩んでいる。 | |
12月5日 | 日計足らずして歳計余りあり。 | 日々の計算では不足するが年間を通じてみれば余りある。目先の利益は無くても長い間には利がある。これが日本の商法、米国式は目先追求型。だから世の中、世知辛くなる。 | |
12月6日 | 恥を忍びて益-やく-を被-こうぶ-れ。 | 恥を享ける苦痛はジット我慢してその分利益を取る。名誉より実利。商売の極意。サムライ商法は身を誤る元。 | |
12月7日 | 人を傷-やぶ-る者は己を傷る。 | 人に害を与える者は自分も害を受ける事となる。 | |
12月8日 | 他人の正目。 | 利害関係のない他人の公平な観察のほうが当事者より正確。 | |
12月9日 | 店を守れ、そうすれば店が汝を守る。 | 自分の職業専念こそ大切。keep your shop and your shop will keep you. | |
12月10日 | 天道の数至れば即ち反-かえ-る。 | 天運も満ちれば欠ける。盛んなれば衰えるのが天命。 | |
12月11日 | 登り坂あれば下り坂あり。 | 一生のうちには栄えるときもあれば衰えるときもある。 | |
12月12日 | 水は船載せ、亦船覆す。--くつがえす- | 同じものでも役にも立てば害にもなる。 | |
12月13日 | 理に負けて非に勝て。 | 道理に負けても不利な状況に落ちるな。理屈で負けても実利取れ。 | |
12月14日 | 損をせねば儲けもない。 | 損失を恐れて目先の損得勘定だけでは大儲けできまい。 | |
12月15日 | 国に盗人家にネズミ。 | 物事には必ずそれを害するものが内部に潜む。 | |
12月16日 | 物用いられざる所なし。 | この世に役にたたない物はない、どんな物でも何かに役立つ。 | |
12月17日 | 論ずるものは中から取る。 | 二人の言い争いは、それに乗じて第三者が利益を取れ。或いは中庸か。 | |
12月18日 | 水積もりて魚聚-あつ-まる。 | 利のある所に人が集まる。 | |
12月19日 | わが船の順風は人の船の逆風。 | 自分にとり都合のいい事は人には都合が悪い。同一の事では利害は一致しないもの。 | |
12月20日 | 寸をまげて尺を伸ぶ。 | 一寸退いても一尺前進する。小利を捨てて大利を取るの例え。 | |
12月21日 | 旨いものは宵に食え。 | 旨いものは不味くならない中に食え。利益は得られる中に早く取れ。 | |
12月22日 | どか儲けすればどか損する。 | 一度に大儲けすると往々にして一度に大損する。 | |
12月23日 | 小を専らとして大を失うこのなかれ。 | 小さい事に拘り大切な事を失わない。 | |
12月24日 | 末始終より今の三十。 | 将来の多くの利益の話より、例え少なくても今手に入ったほうがいい。 | |
12月25日 | 見榮-みえ-張るより頬張れ。 | 世間体を気にするより内情をよくせよ。 | |
12月26日 | 利は百倍に非ざれば古代の法を変ぜざれ。 | 利益が百倍でなくては昔からの法を変えるな。国家の治と礼を行う時の心得。 | |
12月27日 | 山を攻めて金を取る。 | 夢中に山を乱掘していると、それがもとで大水や山崩れの害が起きる。一字の利得に走りあとの事を考えぬ例え。 | |
12月28日 | 人のことより我がこと。 | 他人の世話よりわが身の反省を。人の世話より自分の利益第一。 | |
12月29日 | 僧に法あり。 | 僧が仏法にとらわれかえって身を損なう。物について却って身を害す例え。国に賊あり、小人に財あり、君子に仁義あり、僧に法あり。徒然草 | |
12月30日 | 空馬に怪我なし。 | 無一文、財産のない者は損はない。過剰は苦労の種。 | |
12月31日 | 利を見て義を思う。 | 利益に臨んでそれを得ることが義と理に適うか。米国式経済と根本的に違う。大多数の人間の幸福には日本型資本主義が適合。 |
ご愛読有難うございました。徳永圀典