お金の社会学5 8月は財産、富について
[過去のものはお金の社会学集]ご参照
利には義が必要との考え方で我々日本人は育った。これは将に経国済民の思想と思うが米国式市場経済とは哲学が大きく違う。今月は財産、富に関するものを蒐集してみる。今日から日々積み上げて行くのであるが、一体どんなものが出来上がるか。 平成14年8月1日 徳永圀典
8月1日 | 富は足ることを知るにあり。 | 満足する事を知れば心は富む。満足する事を忘れたのか、現代人は。それでは永遠に不幸が続く。 |
8月2日 | 賢にして財多ければ、即ちその志を損し、愚にして財多ければ、即ちその過ちを益す。小学 | 子孫が賢いとかえって遺産は志を損なう。愚者の後継者であれば過ちを増す事となる。どの道、子孫への遺産は為にならぬ。 |
8月3日 | 多く蔵すれば、必ず厚く失う。 | 財産を沢山蓄えようとすると、財産だけでなくそれ以上の人間の本質を失う事がある。含蓄ある言葉。時に頭を冷やすがいい。 |
8月4日 | 死生名あり、富貴天にあり。 | 生死も貧富も貴賎も凡て天命で個人ではどおする事も出来ない。努力をしなくていいと云う事ではない。 |
8月5日 | 不義にして富み且つ貴きは、我に於いて浮かべる雲の如し。 論語 | 鈴木宗男でもそうだが悪事で金を持ち地位を得ても空の雲のように私の心を動かすに足りない。 |
8月6日 | 富みて礼を好む。 | 金が無くても卑屈にならず、金があっても傲慢にならず、夫々の生活を楽しみ、人間として踏むべき道即ち礼を大切にし愛する事だ。 |
8月7日 | 倉廩-そうりん-実ちて、即ち礼節を知り、衣食足って、即ち栄辱を知る。菅子 | 現代の世相、人間の欲望無限を見ると、物が豊富で却って礼節を忘れておりこの格言は不適と断じたい。 |
8月8日 | 貨悖って-もとって-入る者は、亦た悖って出ず。 | 道理に背いて手に入れた物は亦道理に背いて出て行く。悪銭身につかず。言悖って出ずる者は--も同様。 |
8月9日 | 子孫に財産を残す事は、子孫に怠惰を教うるのみ。小学 | 財産を残す事は子孫に怠惰の習慣を教えるだけだ。 |
8月10日 | 富を欲するか、恥を忍べ。 旬子 | 金だけが目的なら恥を我慢し、友人も、義理も捨てなくては。 |
8月11日 | 大富は命により、小富は勤による。 | 小富は勤勉次第。 |
8月12日 | 富は衆の怨みなり。 十八史略 | 金持ちは何時の時代も人から妬まれるもの。 |
8月13日 | 財多ければ命あやうし。 | 貨財を多くもてば強盗に狙われる。 |
8月14日 | 民貧しければ、即ち姦邪生ず。 | 民が貧乏になると邪悪な人間が増える。貧すれば貪する。 |
8月15日 | 貧しくして怨みなきは難し。 論語 | 貧乏になると、とかく世をうらみ、他人をとがめるのが人間。 |
8月16日 | 高明は神の悪み--にくみ-にせまる。 唐詩選 | 立派な邸宅には神の憎しみが訪れる。 |
8月17日 | 多く蔵する者は厚く失う。故に知る、富は貧の慮りなきに如かざるを。 | 物を多く持つと失う心配も多い。財産家より、失う心配のない暮らしのほうがましだ。 |
8月18日 | 奢る者は富みて、而も足らず。何ぞ倹なる者の貧にして、而も余りあるに如かんや。 | 例え富んでいても欲しい、欲しいと思う人は貧しい人よりも人間として貧しい。 |
8月19日 | 家を富ますに良田を買うを用いず。書中自ら千鐘の粟-ぞく-有り。 | 本の中に沢山の穀物があると言う、それは事実だが、現代に説得力がありや否や???。 |
8月20日 | 貪夫-どんぷ-は財に徇ず。--じゅん | 貪欲な人間は財貨の為に命をも捨てる。 |
8月21日 | 無事は以って貴に当たり、早寝は以って富に当たる。 | 貧乏人でも暮らせたら貴人と同じ、早寝ができたら富む人と同じ。人間時には諦めが肝心。 |
8月22日 | 千金は死せず、百金は刑せられす。 | 千金の金持ちは死ななくてすむし百金の持ち主は刑罰を免れる。金がものを言うのは古代かららしい。加藤紘一を思い出す。 |
8月23日 | しばしば空し。 論語 | 顔回は経済的によく窮したが、分に安んじて、道を楽しむを忘れなかった。 |
8月24日 | 福は禍いなきより長きはなし。荀子 | 禍いが無い事の続くのが福である。なによりの財産だ。 |
8月25日 | 富貴と雖も養を以って身を傷めず。-いためず。 | 命を大切にする人は富貴であっても食色を思うままにしない。 |
8月26日 | 高明の家は、鬼其の室を瞰う。-うかがう。 | 明るい高い家があると、とかくそこには鬼が来て家の様子を覗いたがる。人の妬みを受け泥棒が狙うのは、世界の金持ちの日本の現況と同じ。 |
8月27日 | 余れるを蔵して分かたざれば、即ち民は盗む。 | 上の人は恩恵を考えなくてはならぬ。 |
8月28日 | 富貴なる者が人に驕るべきか、貧賎なる者が人に驕るべきか。 | 貧者が驕るべき、富貴の者が驕れば必ず身を亡ぼす。 |
8月29日 | 自ら多福を求むな。 左伝 | 人間のしあわせを得るのは自分の力次第。天は自助を求める。 |
8月30日 | 貧者の一灯。 | 富者が余裕のある財力をもって供える万灯より尊く功徳がある。 |
8月31日 | 足ることを知る者は富めり。 老子 | 満足を知る人は既に富めり。巨万の財産を得ても、望む心あらば常に貧乏人。最初も終わりも、富むとは足るを知る事となった。 |
予告--9月は欲望に関してです。ご閲覧を御願い申し上げます。
平成14年8月30日 徳永圀典