鞍馬古天狗として最近の日本の司法を見ての感想
 
1 刑事と民事の捩れ現象が多いのは、善良な市民の司法への不信を招く 
最近刑事裁判で悪質な加害者が微罪の判決を受け、不服とした被害者側が民事裁判で勝訴する例が多い。市民の常識からみていかにも不当な例が多い。仮に民事で勝訴しても、このような悪質な加害者は損害賠償の経済的能力がなかったり、意志がなかったりで、実際には賠償されていない例が多いという。それでも被害者が民事裁判に持ち込むのは、刑事裁判での「加害者の権利保護の姿勢」と「被害者側の権利無視や不当さ」つまり
量刑の軽さへの無念を晴らすためであろう。
昨日のテレヴィで見た交通事故も酷かった。前夜多いに酒を飲んで若い女性をひき殺した事件で、懲役8月であった。非は女性にありとの判断であった。おかしいと思った被害者側は著名な老人の交通事故鑑定人に依頼して、これが後方からの追突事故であることを立証し、民事では勝訴した。ポイントはトラックの左前方部分の微細な傷と、単車や女性の着衣の損傷であった。つまり警察の調書は、生きている加害者の弁明通りであり、死者にはクチナシのものであった。警察の役割は、客観公平に調査すべきところ、基本的な加害者の車の調査が手抜きであった。同じ裁判所の民事の法廷で勝訴しても、なくなった命は帰らず、刑事の判決には変更がない。まことにお気の毒である。
このような捩れ現象は、被害者が悪質な交通事故やイジメ殺人などの場合に多い。国家公安委員長や司法関係者は、もう一度「被害者の人権が軽視されていないか」「加害者と同様の権利保護をするのが、法の衡平ではないか」真剣に検討すべきである。
 
2 警察の捜査能力の低下を危惧する
この例のように、初期の捜査や調査能力が著しく劣ってきているのではないか。
最近、イジメ問題の殺人事件で、数年前の告訴依頼の書類を放置し、時効寸前に手続きに入った例がある。この時捜査に着手していれば、最近の殺害にまではならなかったであろうと、被害者の父親は嘆いていた。本来警察は平和な市民を保護すべきで、暴力的行為には市民を守る立場で、真剣に対処すべきである。人事の引継ぎ不備で、結果的には数年間暴力者をのさばらせ、善良な市民の命が奪われた。
警察の方々は、犯罪の増加で大変であろうが、どうか必死で警察にすがる市民の保護をする立場で、悪いやつには敢然と、かつまともに捜査してほしい。今問題になっている徳島の自衛官自殺(?)事件も、自殺とするには相当な無理がありどうみても暴力グループ数人の犯行ではなかろうか。
 
3 県警より道州警察への再編を
グリコ事件では大阪府警から滋賀県警への連絡不充分で犯人を取り逃がした。
滋賀県警の幹部は自殺したという痛ましい事件もあった。最近の交通機関の発達、道路網の整備で、犯人は一気に隣接他府県に逃亡できる。
他府県で犯罪を起こすこともあろう。鑑定も高度になろう。地方自治に先立ち、四国警察庁とか近畿警察庁など組織を県単位から引き上げつまらぬ縄張り意識は捨てたらどうであろうか。関東は全て警視庁管轄でよい。各県警のレベルが低い。警察の不祥事件が多すぎ県民の信頼を落としているような気がする。
 
4 外国人犯罪者をのさばらせるな
日本に出稼ぎの感覚できている犯罪者をのさばらせてはならない。検挙し厳罰に
すべきである。「刑務所に入っても、3食つきで技術を習得でき、母国では10倍以上の価値のある労賃を貰え、おまけに強制送還という自己負担のない帰国ができる。だから逮捕されても平気だ」という感覚だと聞いたことがある。
警察は、日本の安全神話を壊しつつある外人犯罪に、敢然と立ち向かってほしい。それは米兵であろうと、神父であろうと、中国北朝鮮であろうと関係ない。日本が外国人の犯罪天国になってはならない。国家公安委員長には、副首相程度の器量ある人材を登用すべきほどの犯罪検挙率の低下状態ではないのか。また外国人犯罪者の処置には、外務大臣並みの交渉力も必要ではないか。体操の小野さんには頑張ってほしい。
 
5 死刑と無期懲役の量刑落差が大きい
「無期懲役」というといかにも終身刑務所にいるような重刑に錯覚している市民が多い。
しかし実態は15年程度で出所すると聞いたことがある。刑務所の収容能力や看守の人数が限界に来ているから、トコロテン式に突き出さざるを得ないからである。懲役30年とか50年、あるいは終身刑など明確にした方がよい。無期懲役は言葉の
魔術のようで、死刑宣告の嫌いな裁判官がとりあえず無期の判決をして、「あとはよろしくね」というような安易な判決に見える。
悪人も厚生できるという性善説は、いかにも聞こえはよい。事実厚生される方々も多いであろう。しかしどうしようもない極悪人もいれば、被害者の立場からは極刑にしてほしい犯罪もあろう。無期懲役が、実態は十数年というのはいかにもやりきれない。刑務所が足りねばダムより先に公共投資をすればよい。刑務官が不足しているのであれば質のよい刑務官を増員すればよい。(市中には適任の失業者も多数いよう)無期懲役の実態が、収容能力の限界から、減刑措置になっているのであれば論理のすり替えである。
 
善良な市民保護の立場から、どうかまともな警察や検察の強化を是非行なってほしいと箱根の山奥から司法関係者へ一言申し上げたい。平成15年10月2日 古鞍馬天狗