欧米の歴史を考える


昨年末の夜10:00から11夜連続でNHK「映像の世紀」という番組をしていました。

これは日米欧主要国のメディアが共同製作した番組で、20世紀の世界史をマル秘映像も交えた映像で編集したもので、1995年の放送に続いて4年前の年末に再放送され、それをこの度再々放送したものです。

戦争を観念的にしか知らない我々戦後世代はまさに「百聞は一見に如かず」。百の教科書よりストレートに脳の天辺に入ってきました。

ユダヤ人絶滅収容所での餓死死体の山やセルビア・クロアチアの民族紛争における銃殺処刑シーン等、胸が悪くなる様な映像、またナチ支配から逃れるユダヤ人を満載した難民船やサイゴン陥落時のベトナム難民の必死の様子など、衝撃的な映像が沢山ありました。

当時の手記や戦場の兵士や一般市民の回想が随時挿入され、当時の人々は何を考えて行動していたか、じっくり見ました。 

領土侵略・ホロコースト・原爆・ベトナム戦争・民族紛争・・これを見ると、20世紀が大量殺戮・大量難民の世紀であったこと、その元凶は常に欧米であったことがハッキリ判ります。

 

米国が第1次大戦で大量の武器を連合軍に生産供給して漁夫の利を得たことから、自信過剰になっていった様子、それ故に米国が唯一侵略を受けたとする真珠湾と9.11テロに過剰反応する理由も手に取るように判りました。米国はこれ以外は侵略を受けておらず、ここが欧州と決定的に違う所で、対アフガンやイラクで見せた米国の呆れ返るほどの楽天主義も理解できる気がします。

 

また、太平洋戦争が呼び水になって第2次大戦後、アジア各国が独立独立した事も明確に判りました。インドの独立を指揮していたガンジーでさえ、戦争初期、日本がアジアの盟主であると認めていたのです。これは知りませんでした。尤も、その後日本は侵略戦争の道を選び、ガンジーは「日本は欧米と同じく侵略者になった」と落胆していますが・・。


以下の番組を見ての感想は自明の事かも知れません。しかし、番組は私の世界史認識の目を開いてくれました。

(1)欧州は古代から民族大移動があった。平和な民族移動などあるはずもなく、民族大移動とは歴史書に書いてない延々と続く戦争であったのだ。即ち欧州は過去、常に「殺戮の世紀」であった。武器・科学技術の変遷故に(あえて進歩とは言いません)20世紀は「大量殺戮の世紀」になったのだ。そうでなければ、20世紀だけが突然変異する説明がつかない。


(2)つまり、20世紀は民族大移動が近代の様相に形を変えた姿であり、たまたま技術の進展によって(ここは進歩といいます)、詳細が映像に記録されているだけにすぎない


(3)アメリカ大陸への移民も民族移動と捉えれば根は同類で、欧米人は所詮、そういう人種である。

(4)従い、今後も戦争は起こる。戦争好きは欧米人のDNAである。20世紀の形とは違う形で戦争は起こる。(経済戦争、グローバル化は広義の戦争かも)

(5)で、あるとすれば、平和・平和とお経のように唱えることがなんとばかげたことか。

(6)そして「国を守る」意識なくして難民たり得ないことが出来ようか 

「近・現代史」はずっとご無沙汰していました。この正月休み明け、仕事も本格化する前にTV番組とトレースするように日露戦争以降を読みました。更に認識が深まったように思います。


世紀が変わり、その時は意識していたわけではないが、皇居の新年一般参賀に出て日の丸の小旗を振り、天皇ご一家を身近に見るにつけ、次第に日本という国と万古の歴史を思うようになりました。

その後9.11テロ、アフガン戦争、イラク戦争と、世界秩序は揺れ続ける・・・

 

この4年間、既定のレールが敷かれているかのように認識を深めるに至っています。
もっぱらHPで勉強させて頂いており、貴重な指南を頂いています。

 

こんな自分を振り返ると、頭の中には、ある歴史仮説(と、いうか狭い視野では検証できないので暴論に近いですが)が出来つつあります。
平成16年1月6日  関東圏