日本海新聞潮流 寄稿 平成1610月6日

グローバリズムによる「日本解体」

先月の愚見「通貨の本質」を読み、目からウロコが落ちたと言う方々もあった。金融庁がシティ銀行に対し詐欺的行為の法令違反で業務改善命令かと報道した新聞もあった。数年前、悪質な外資系証券で国外退去したものも数々あった。日本の銀行は可哀想な程、順法的で、これで収益を外銀並みに上げろと金融庁から叱咤されている。外資のようにアクドイ事をしろということか。

日本鰍フ倒産はクリントン政権の恫喝に宮沢総理が屈してからだと信じている。この
10年の日本経済はこれしか考えられない。敗戦で日本の伝統文化・精神を骨抜きされたが、冷戦のお陰で経済大成功。冷戦後は米国に日本経済力の骨抜きを巧妙にしかけられ政府・政治家・官僚はその圧力に屈して、自ら米国流の日本に変更してきた。米国の圧力を受け入れた日本政府が悪いが、なにやら国民の知らぬ間のように思える。
これは巧妙な大不平等条約に近い。マスメディアもこの真実の追求をしていない。彼らが無知なのか、知らぬ顔なのか私には分からない。米国は日本の立・司・行の三権まで改革の要求をしている。日米関係には奇妙な仕組みが潜在しており、政治家もメディアも口をつぐんでいるとしか思えない。
聞く処によると米国の要求は政府各省庁の担当部局から審議会を経て法律改正にと着実に現実化して来たという。裁判員制度など、あれ程重要なものがあれよ、あれよと言う間に成立してしまった。これも米国の要求が背景にある、弁護士の少ない日本、大量にいる米国の構図である。以前、ガン保険は某米国保険会社のみ独占的に扱っていた時代があった。なぜかと調べたら、米国大統領の息のかかった保険会社であった。
昨年
4月から半世紀ぶりに商法が改正施行され米国型の会社制度が導入された。要するに米国型の社外役員が経営を左右する仕組みである。この結果、昨年の日本株式の外人保有率は22%と過去最高。日本企業の大株主であった銀行の保有率は6%に激減。敵対的TOBを防ぐ手段は無く、二年後は株式交換M&Aで買収が更に容易となる。
東京三菱銀行さえシティ銀行が食指を動かしていた。資本力の巨大なメガ外資が日本企業を容易に買収できる改革である。薬品の世界最大はファイザー、資産
28兆円、日本トップの武田薬品4兆円が最も外資に狙われていると聞く。
こうして見てくると竹中金融大臣が執拗に一部大銀行に厳しいのは日本の為と思えない。同氏は
8月初旬3日間だけ米国を訪問し米国金融要人と会談した。私は疑っている。
建築基準法の全面改正も米国の圧力であると言われるが、日本の法成立過程に米国の民間業者が公然と口を出す仕組みがあったと言う。郵政民営化というが、このような一連の背景を見ると、米国資本の要求と政治圧力が背後にある。進出外資優等生のように私さえ思ったシティ銀行があの実態である。
日本人の預金がハゲタカ外資の企業、銀行に流れ過ぎると、かれらの狡猾な大利益追求の為の生贄になるばかりか日本の経済基盤の完全溶解を招く。

このように、いつの間にか米国の容喙を許す仕組みが完結している。政府も政治家も官僚もメディアもこの真実を国民に知らせないまま既に国内法体系が出来上がり現実はその通りに進捗している。
米国の圧力もだが、国家として政府も、与野党議員も中枢官僚も、ずるずると日本流運営をグローバリズムの名の下に、国益即ち、国家国民の利益を放棄してしまっている。

戦略なき日本は米国には経済の実質的内容で、中国や韓国は、日本が主権なき国とみて、歴史、靖国、尖閣、沖の鳥島、竹島で揺さぶり彼らの国益を追求している。本当に情けない。米国圧力の元凶である基本文書は、インターネットで入手したが、米国政府から毎年、日本政府へ

「年次改革要望書」
として提出され、結果を追及されている。

あらゆる分野で巧妙に日本は換骨奪胎されている。まさに属国である。政治家、政党は何をしているのか。国民は黙っていてはいけない。

鳥取木鶏クラブ代表世話人 徳永圀典