日本人とアメリカ人

この10年間の日本は、経済的に惨憺たる様相を呈してきた。市場経済という名の下に、一方的にアメリカに圧倒されて大敗し多くの富を失った。漸く、巨額な円を乱費して支え、なんとかギリギリで起き上がったと云えよう。否、日本を完全に叩きのめして困るのはアメリカ自身であるから、手心を加えてストップしているのが現状であろう。日本はこの間、多くの大企業が消滅し、或いは外資に飲み込まれてしまった。一部、先端的な企業はなんとか持ちこたえて再び国際的にも成功を収めつつあり史上最高の業績をあげている。メガバンクも、UFJは消滅するが、なんとか不良債権のメドもつきつつある。
日本経済は小康状態にあるやに見える。果たしてそうであろうか。

1.これから二年後に控えている、株式交換によるM&A旋風が吹き荒れたら、簡単に日本の大企業は世界的メガ企業に飲み込まれてしまう。三菱東京銀行でさえ、CITY-BANKの買収恐怖からUFJ銀行の吸収合併に走ったという。それ程、世界的メガ企業の資本・資産は巨大であり日本の銀行始め企業の資本規模は見劣りする。私には再び大荒れの始まる風前の灯火のように見える。

2.又、会計基準の英米基準への切り替えも迫っている。

3これらは、日本の銀行を苦しめた、あの銀行自己資本BIS基準、8パーセントに相当する影響を与えると確信する。これにより、次第にその効果が表面化して日本企業の受難が起こりえるのではないか。このように、いつの間にか、欧米指導による立案が出来ており日本は後発として随わざるを得ない。日本が勝つと常にハードルを上げて、一から出直しさせられる。それらの狙いは明白に日本企業の劣化であることはBIS8パーセント基準が日本の銀行を狙い撃ちし、物の見事に的中し日本の銀行が瀕死の重傷となり、世界的に撤退させられたのと同様である。米国企業各付け会社の評価に翻弄され一喜一憂してている日本の新聞・企業・株式投資家を見るとウンザリとする。

4.世界の屋台骨を支えている欧米資本の狡猾的智恵と体力と日本の戦略負けであり、この様相は世界を支配し続けている彼等の手法で明治時代にもその罠にかかり巨大な富を喪失した日本であった。

5.日本がいつも欧米人にしてやられる原因であるが、やはり日本人の「お人良し」の長所と因果関係がある。

日本人ーーマスメディアを初め、政治もビジネスも極めて情緒的過ぎる。戦略がない上に本来の目的そのものを追求せず情緒に流れすぎる。論理的、知的主張が出来ない日本。マネー感覚が幼稚、且つ情緒オーバーである。マネーは汚いものという遺伝子が強過ぎる。

欧米人ーー彼等は戦略を持って動いている。その上に、
@目的追求合理性 A明快な判断力 Bタフな交渉力 C情報撹乱操作ーーこれが徹底している。ビジネスとか金銭に関して友人と雖も明快な態度で迫ってくる。

6.能力も頭脳も日本人は世界的に見て、大変高いし、民族的には善良な性質であると確信している。これを土台にして、彼等と戦うには、やはり、あらゆる分野で、知的に合理性の徹底的追求をしなければならないと思う。特にビジネス・外交の面で外人相手ー白人だけではない、中国人・韓国人とて同様ーには徹底的に合理性と知的追求をビジネスとか外交で戦わなくては必ず負けてしまう。それと情報撹乱操作の必要性である。更に、財界人に欠けているのは日本歴史に関する素養である。企業人はもっと国史を学び、彼等に対抗する歴史的知性が絶対必要である。これらを踏まえて国内と対外の二刀流を使い分けし、交渉力の強化が絶対必要である。
平成16年12月1日 徳永圀典