ドイツと日本

1. 両国とも先の大戦の敗戦国である。国家が戦争に負けるということが、その後どれだけ民族に後遺症を残すか、敗戦後に世界第二の経済大国となり、寧ろ国民は戦前より物質的に豊かとなった事しかしらない戦後世代には、国家の敗戦という、歴史的民族的屈辱が体感できないのであろう。

2.  ドイツも日本もアメリカに負けたのである。ドイツは対ソ連への対抗からヨーロッパが団結しNATO軍を結成、それだけでは弱いのでアメリカの支援で自由が守られてきた。ヨーロッパ全体でも対ソ連では弱かったのである。特にドイツは東西に分裂し緊張があったから尚更であった。

3.  日本は、有史以来の敗戦で、大東亜戦争4年で占領期間7年と極めて長期間の内に、2千年の民族的伝統を根こそぎされて骨抜きとなつた。そして、対中国共産主義と北朝鮮という存在がありアメリカ軍の全国的基地提供と国軍の無き事と、憲法の交戦権の無いことと、経済繁栄に溺れていた為に自分の国は自分で守るとの気概まで消失してしまった。

4.  さて、イラク戦争で、終にドイツはアメリカの言いなりにならなかつた。袂を別つた。

なぜ、ドイツはアメリカと袂を別ち得たか。

これには二つの理由がある。

@戦後50年かけてEUという一大国家とも言うべき連邦を形成してしまつた。そして連邦軍さえ創設の機運がある。

Aつぎに、通貨EUの創設である。経済的にヨーロッパが団結しアメリカに匹敵する経済圏を創立した。ドル経済圏からの独立である。これが実はドイツ独立を促す背景となりえた。

5.  そして日本である。アメリカに追従した。ここで、もし追随しなかったらという仮定を検討して見ることが必要である。アメリカと袂をわかたば、

@国軍を持たないし国家安全保障が欠如する。

A中国とは信頼関係も安全保障もできない、あの国は共産主義国である。同盟など出来るわけがない。

B北朝鮮という無頼無法の国家が隣国である。

Cロシアという平和条約もない交戦状態の隣国がある。

D韓国は竹島を占領するような国である。経済規模は九州を少し上回る程度の小国である。

隣国はすべて反日教育をしている国ばかりである。

6.このような事情を勘案すると、
@日本は口ではアメリカ反対と言えるが、ドイツのような態度を取って、果たして日本の安全保障上、国益に叶うのか極めて疑問である。
A憲法改正の緒にさえつけないような心構えで、何らの自尊自立の精神も国内体制も無い日本でドイツのような態度が取れるのか。取って良いものか。
B台湾が中国のものとなれば、中東石油の海上ルートを中国に支配される事となる。中国の配下になり差配されて経済の安定基盤を失う。

このように考えるが、代案はあるのか。無いであろう。反対を唱える議員の見識を疑う。彼らこそ平和ボケである。
平成16年2月1日  徳永圀典