甲斐駒ヶ岳 海抜2967米 日本百名山

平成16年7月31日 雲時々雨
私の念願の山である。一も二もなく、多年に亘り憧れた山である。中央線から幾度、見上げたであろうか。遂に友情に厚い親友がガイドをしてくれることとなった。台風の為に一日延期した登山日である。昨夜は小屋で雑魚寝して、又終日過去経験ないような、終日ぼんやりとした日を送ったことも感慨深い。北沢峠界隈を散策し高山植物に詳しい親友と過ごし得たことは人生にとり忘れがたい、極めて有意義なものとなった。就寝は午後8時、能率のいい姐御肌の小屋主人の客捌きに興味を抱く。イビキの大きい音に中々寝付かれなくて困惑した。翌朝の起床は予定通り午前3時20分、雨である。

長衛荘出発    午前4:20 ライトを点灯し昨日下見した道で北沢長衛小屋方面に進む。キャンプが10ほど張ってある。

北沢長衛小屋   午前4:25 ここから谷の中、大きな谷の中、雨の中を静かに歩む、我々だけである。途中に累々たる巨石の山積する河川の源頭部である深山だと実感する。漸く薄明かりでライトが不要となる。
仙水小屋着    午前5:00 誰か一人、小屋から出てきた。5分休憩する。明るくなり、石の中の登りも楽となった。こんな源頭部は、もう深山しかないし、甲斐駒のような3000米クラスしかあるまい。
仙水峠着     午前5:37、本来ならここで、あの摩利支天の岩峰がそそり立っている、バックにあの甲斐駒が見上げられる筈である。突然、一瞬ガスが晴れて雲が流れ、摩利支天の側壁が忽然と現れた。一瞬であり、思わず声を上げた。感動の瞬間である。友の言うように風で見えるのだ。ここから駒津峰2752米まで標高差524米を一気に登るのだ。仙水峠は2264米である。名の知れた急峻である。途中、右サイドに、風による瞬間的ガスの晴れ間に、時々摩利支天を眺めることができて感激し続けた。然し、休み休みの険しい岩ばかりで、時に瞬間風速20米程度の風が当たり思わず身体を縮める。石楠花が咲いていた。
駒津峰着     午前7:10ー7:20 風が厳しい、ガスが巻いている。瞬間、多年、めざした甲斐駒が見えて、感動!ここから甲斐駒を見ると、実に怖いような岩山の急峻がそそり上げている。途中には六方石の巨岩が眼下に見える。ガスと風は猛烈である。不安がよぎる。ここまで来たのだ進むしかない。互いに慎重さと風の注意を呼びかけながら下り始める。岩場の連続である。
六方石着     午前7:45−7:55 小休止。後ろを見上げると駒津峰に数人見えた。後続であり我々は先頭かも?プロ級しか登山しないという岩場の急峻の尾根を避けて右に回る。右下は急峻な崖であり絶対に油断ならない。石灰岩の砂利であり滑らないように進む。友は雨だからまだ良い、乾いているととても歩き難いという。もう、そこに山頂があるのに、喘ぎ喘ぎである。途中下山の二人に会う、我々は二番手であった。ガスは皆無で雨もなく風が少しであつた。何という幸福であろうか。本日の日程は最高と友と共に感激した。
甲斐駒ヶ岳山頂 午前8:45−9:15 一瞬、風速30米クラスの猛烈な突風がしばしば吹きつける。思わず四つんばいとなり岩を掴み身体を支える。矢張り凄い!ここで食事をして英気を養う。山頂は青空である。なんというラッキーであろうか。西方面の村も見えた。グループが到着したので我々は早々に下山開始。
大国神社着    午前9:20ー9:25 感謝の参拝。再び我々は駒津峰に向う。慎重に慎重にである。
駒津峰着     午前10:20ー10:30 甲斐駒に別れを告げる。再びガスであった。ここから我々は双子山を目指す。
双子山着     午前11:10−11:40 海抜2643米、ここで昼食する。私が食べないので、山では食べないと足にくる、シャリバテすると叱咤激励してくれる親友に感動。牛蒡天が実にうまかった。矢張り食べると元気が出てくる。腹に力が入らねば本当に登山はダメであると実感した。ガイドでは、駒津峰から1時間半とあるが、絶対にそんなものではない。我々は辟易するくらい長丁場であった。
北沢峠着     午後12:50 という事は、駒津峰から、ゆつくり歩いたが実質1時間50分である。下山したら、いい具合にバスが待機していた。泊りの仙流荘には思いもかけぬ早い到着であり、ゆっくりと存分に露天風呂やら乾杯ビールを楽しんだのは申すまでもない、全て親愛なる友のお陰で成功した登山となった。ありがとう、ありがとう。
総時間8時間30分 休憩1時間50分 実歩行6時間40分