戦慄すべき「人権法案」

私は、雑誌VOICEの12月号の138ページ、評論家の西尾幹二氏の「皇室典範問題と人権擁護法案を問う」を読んで、どうしてこんな法案を小泉総理が議会提出宣言するのか、実に不思議である。若し、そうなら小泉政権には断固として反対する。おかしな日本である。亡国的内容ではないか。マスメディアが騒がないのは、彼らは左翼で、その勢力と連携があるからであろう。

平成17121日 徳永圀典

 

143ページ 現代の治安維持法=人権擁護法

 

総選挙後の929日の参議院本会議で、小泉首相は「人権擁護法案をできるだけ早期に提出できるように努めて参ります」と、国会上程の間近いことを宣言した。さあ、お出でなすった!早速、始まったのである。

人権擁護法は今の時代のいわば治安維持法である。民主主義社会の自由の原則に反する法律だ。

人権の名において特定の団体に警察権を与えようとしているからである。

特定の団体とは、部落開放同盟や、外国人の団体として民団、朝鮮総連その他が考えられる。

問題は糾弾権や捜査権を有する人権委員、人権擁護委員に国籍条項がないことだ。

また仮に国籍制限をしても、日頃「人権」を叫んでいる日本の団体に政治的中立が期待できるであろうか。例のパウネット・ジャパンとか、ピースポートとか ジェンダーフリーの各種団体とかのメンバーが人権委員となり、彼らに令状なしで突如自宅に踏み込まれるような異常な条文が法制局を通過しているという、極めて政治的な、信じられないバカバカしい内容の法律なのである。

だから心ある保守系議員たちが身体を張って反対し、一度ならず二度までも廃案になった法案なのだ。

「自民党は首相以下がおよそ保守党とはいえない無責任体制になつていて、芯のしっかりした少数の議員が声をあげ、身体を張って辛うじて保守の価値観を保っている。自由と民主主義を守るのは今や薄氷を踏む思いである。今度の件はその思いをひとしお強く感じさせたる。」(諸君!20055月号)

つい、6ヶ月前に私がこう書いた人権擁護法反対の抵抗議員の大半が落選するか、党籍を奪われるかの憂き目に逢った。

守るもののない素っ裸の法案は首相の鶴の一声で国会に上程されれば、心ある少数の反対派が立ち上がっても「小泉チルドレン」に取り巻かれ、踏み潰されるが落ちであろう。

この法律は皇居や首相官邸の中にも原則として捜査令状なしで立ち入って捜査できる建前になっている。しかも捜査する人権委員会はあらゆるものから独立していて、これを監督、抑制する機関はない。同委員会は法務省の管轄下にさえ置かれていない。

三権分立の外にある独立した行政機関にしようとしている。これは一種の「超法規的組織」である。

国家の中に「党」をつくねナチスや旧ソ連の全体主義の発想と同じである。いま北朝鮮のイデオロギーは制度として、国連の名を用いるなどして、野中広務、古賀誠両氏の手をへて、確実に少しづつ日本に移植されつつある。―後略。