日本海新聞 潮流寄稿 平成18年 1月 6日
新しい神道の予感

 

これぞ、生命の泉ともいうべき貴国の春を知り、芸術の源ともいうべき秋を知りました。女性の優雅、料理の丹精に何をつけ加えましょうや。何より惹かれましたものは日本の霊性、これであります。神道の奥義に触れようとして、得がたい経験を積み、今やそれは我が人生の宝となりました。この経験から断固として、こう言うことができます。
「神道なくして日本はない」と。なぜ皆さんはご自分について疑い、ルーツから遠ざかっていらっしゃるのか理解に苦しみます。
日本の皆様は人類史上最大の精神文化の一つの継承者です。もっと毅然として、千古脈々たる「大和魂」を発揚しようとなさらないのですか。
(フランス人作家ジェルマントマ)

新年早々、涙を禁じえない。わが国は、温暖な気候と緑豊かな自然、そして周囲を海に囲まれるという環境に恵まれて孤立性風土もあり、他民族の侵略や文化的影響もなく、生まれたままの素直な人情と感性をそのまま文化として持ち続け今日にまで及んでいる唯一の先進国である。

地球の未来は明るくないし、我が国も敗戦後
60年というに、今尚、国家民族の座標軸が浮動し、悲観論、絶望論が満ち溢ふれ、日本は迷っている。山岳で道に迷ったら、一旦、道の分かる場所に戻り、現在地を特定し、考え直すのが基本である。
中世では、鎖国して民族としての自己確認の時を費やした。

こうして民族は自己を取り戻す。自己確認とは、国の原点、成り立ち、父祖が血と汗で歩んだ過去の歴史を辿り原点を学び直すことである。それが民族として、生きる上で最も効率的であり合理性がある。

日本の未来を構想するには、日本の国柄を見つめ直すことが近道なのである。世界の先進国で、国家発祥以来、生まのままに近い姿を残し伝えているのは日本文明しかない。ここ五百年、世界を動かしてきた中心文明は西洋文明で、その物質文明から発する様々な矛盾・弊害は遂に限界に達し、地球的規模で人類生存の危機を招きかねないまでに至っている。宗教紛争は民族・文明間衝突の様相を示し各地の紛争はすべて西洋の原理が齎したものだ。
西洋の原理は自然征服、対立、抗争、闘争、怨念、復讐、人権、自我等の実に荒々しい狩猟文明で、罠、囮の謀略、搾取、虐殺の思想が見られる。その原理は、一神教的非寛容な絶対神的価値を優先し、他の神や文明と共存共栄することを知らぬ文明と言える。

このような価値観では、人類は地球共々破滅へと導引するものを感じる。一神教的文明は対立の剛構造である。対して日本文明はその対極に在る柔構造で、談合、調和、和の共存思想を持つ。

それは、大自然と対決し征服するという概念ではなく、自然をそのまま受け入れる思想が根底にある。「感謝・もったいない」であり質素・簡素がその基本的特徴。

これらは、取りも直さず、日本の神様、日本神道、かんながらの道、大自然の道、即ちわが国発祥以来父祖の歩んできた道そのものである。
21世紀の人類共存に必要不可欠な原理である。なぜなら、西洋文明の、力を源泉とする大量消費は地球を食いつぶしつつあるからだ。

神社や鎮守の森は、
2千年前から連綿と続き現代的価値まで保有する。叡智と言うべき、政治権力を持たない皇室は125代、世界最古で連綿と続いている。神社と同様、日本は大自然国家ということになる。日本語は世界に三千近い言語があるが仲間がいない。これは、日本の国も言語(やまと言葉)も、この列島の風土から自然発生したということである。神道は戒律も制裁もなく自然崇拝と清浄・感謝であり、自然の相を示すもので、この恵まれた平和の風土から自然発生し縄文の太古から涵養されてきたものだ。自国の事を大和「やまと」と言ったのも和を大切にした民族国家ということであろう。

神道の原理には、
21世紀の地球を救うものが秘められている。

今こそ、地球・人類、現代文明の危機を救う原理だと自己発見をして世界に自信を以って言挙げしたいものである。

(鳥取市)鳥取木鶏研究会 代表 徳永圀典