(しん)()(しき) その三 

昔からの学者、聖賢は、相や運の大事なことは知っておったけれども、敢てそれを説いていない。その必要が無いからである。学問、修養をすれば自ら良くなると知っていたのである。 

而かも学問には弊害がない。然し、相や運を説くと善悪ともに弊害がある。 

「易を学ぶものは占わず」とは、そこを言うのじゃ。 

占わない、と言うのではない。占ってみた処で仕様がない。いずれにしても分かっておるから占わないだけじゃ。 

人間というものは、案外、内容的或は無形的には分からぬが、よく相に現れるものである。

然し、相学というものは中々、興味深々だのう。まあこれをわきまえておくことは決して無意味ではない。 

学ぶに如かずじゃ。 

                岫雲斎