217日 師恩(しおん)(ゆう)(えき) その二

 吉田松陰が有名な士規七則の中でも、「成徳達材には、師恩友益多きに居る。故に君子は交遊を慎む」と掲げている。大義が良ければ良いほど友益が要るので、徳を成し、材は要するに才であるから、人間の要素で言いますと、最初に言った知能とか技能とかいうものにあたる。一方は人間の本質的要素であるところの徳性、つまり人間の本質と目的、両方の要素がこの言葉の中にちゃんと含まれておる。人間を完成させるのには「成徳達材」である。そして徳を成し材を達するのには、「師恩友益多きに居る」と言うのであります。出来が良ければ良いで、悪ければ悪いで、むしろ良いほど師友というものが大切な要素なのであります。

                 人生の五計