西欧文明に普遍性はない
過去4000年の世界都市人口推計がある。米国・シャス・チャンドラー氏(米国・歴史家)による。
西暦1000年の「人口順・世界都市ランキング」
当時の「先進都市」は下記の通り。
1.コルトバ市 スペイン ==45万人
2.開封 中国 ==40万人
3.イスタンブール トルコ ==30万人
4.アンコール カンボジア ==20万人
5.平安京(京都)
日本 ==17.5万人
6.カイロ エジプト ==13.5万人
7.バグダッド イラク ==12.5万人
8.二シャプール イラン ==12.5万人
9.アル・ハサ サウジアラビア==11万人
10.
パタン インド ==10万人
大半が、アジア、その半分はイスラム圏であり、西ヨーロッパ・キリスト教圏が見当たらない。
ロンドンなどは、チャンドラー氏の推計では、人口1万5千人程度の田舎町であった。
当時の世界GNPに占める西欧のシェアーは9パーセント以下であったという。
日本文明が現れたのは西暦100−400年頃である。
ローマ文明でなく、現在に通じる西欧文明は、8-9世紀の出現であるが、17-18世紀に至るまで近代化していなかった。
であるから、日本文明より西欧の方が進んでいたというのは妄想である。
寧ろそれまではアジアやイスラム世界の方が進歩していたのである。
この数千年の歴史あるイスラムとか中国とか日本民族の培ってきたものを、アメリカが難癖つけるから世界の問題が多発するのである。
先輩諸民族が生きてきたそのものを尊重し、敬意を払うという姿勢が欠けているからアメリカは尊敬されないのである。
世界平和は、アメリカのこの姿勢の変化が先ず最初に必要である。
同時に、歴史的台頭を始めた中国にも、アメリカの真似をした覇権主義にならぬように、世界の為に要求し続けなくてはならぬ。
「近代化」とは西欧化することではないとハンチントン教授すら言う。
そして、アメリカ人や西欧人が自分たちの文明は特異であり普遍的なものではない事を認めることが世界平和に必要だという。
西欧文明至上主義は誤りである。
それは偏見であり、錯覚であり、偏狭な自惚れに過ぎない。
今後の懸念は、台頭する中国が自国の文化を捨てて「欧米の原理」へと傾斜しつつあることが、世界や地球の破滅への導火線にならねばと強く危惧するのである。
何となれば、地球破滅の根本的原因は「欧米の原理」に基づくからである。
平成20年2月19日
徳永日本学研究所 代表 徳永圀典