三識

元来、「識」には凡そ三つありまして、

その一つは「知識」。

これは人の話を聞いたり、書物を読んだりして得る、ごく初歩的なものでありますから、薄っぺらであります。

これに経験と学問が積まれて「見識」にならなければなりません。

更にその上に、実行力が加わってはじめて「膽識(たんしき)」となるのです。

従って、知識だけではだめでありまして、知識が見識になり、その見識もさいごには膽識(たんしき)になって、始めて役に立つのです。

これは医者ばかりではありません。実業家、政治家等々所謂実際家ほどこの三識が要求されるのであります。
              安岡正篤先生の言葉