223日 君と我の解説

 ?鱗委翅(しゅうりんいし)?(しゅう)(りん)(せん)(よく)とも云う。魚鳥が待機の姿勢で静かにしておることに比して、志ある者が期する所あって沈着(おちつ)いておることをいう。煌々(こうこう)とは心満たされずして忙しくする形容詞。

李白の酒の諸作、藤田東湖の(ひさご)の詩、大伴旅人の酒の歌など、酒に関する傑作はさすがに多い。この作なども一気呵(いっきか)(せい)(がい)があって、何人も一誦(いっしょう)して(まゆ)を開くものがある。

上手に世を渡る秀才や腕っこき(れん)に対して、世渡りの下手な苦労性の理想家が一向に報いられる時のない不遇をさして実に妙味があるではないか。まあ飲むさ、君。   百朝集