知れば知るほど深い日本文化

私は86歳となるが、この歳になっても知れば知る程、日本文化の深さに感動を覚えることしきりである。近年、日本文化のレベルの高さ、そして深さ、また人間生活に根付いている為、来日外国人の見聞により、更にその素晴らしさが世界に拡散しクールジャパン即ち凄い日本と言われる背景である。

その究極のクールジャパンが芸術、なかんずく仏像であろうと私は確信する。仏教はインドに発し、北は中国大陸、南は東南アジア諸国と広まり日本が終着国である。日本の仏閣にある仏像だけ見る日本人は仏像とはそんなものと思っているかも知れないが、仏教伝播経路の諸外国にある仏像と比較して見るがよい。日本人の手になる仏像の、芸術性だけでなく、精神性の高さ、窮極は興福寺にある運慶作の無著像だと私は信じているが、この慶派を筆頭に日本の仏像レベルは神を見る思いである。

東大寺を建て仏教の隆盛した天平勝宝時代、この元号の魅力的なことよ、これで時代的特徴を髣髴と理解できる。明治というだけで日本の躍進時代を見事に想起させる、飢饉と言えば天保、元禄と言えば討ち入りは日本人の常識である。

世界はキリスト教の西暦が主流だが
1703と言ったって何の事やらだが、「時は元禄14314日」となると誰でも討ち入りを思い出す。
元禄と言えば、討ち入り、江戸文化爛熟の世相を想起する。

これが日本の年号の素晴らしさであろう。年号は日本文化の根底を成す。現代日本人は、世界に冠たる伝統日本文化を大切にして行く責務がある。その最たるものが元号である。
近年、お寺の暦も元号でなく西暦を筆頭に使用する、無意識なままでは日本文化が廃れる。
本当に心して大切にしてゆきたい元号である。

                                 徳永圀典 86