2月3日 ファウストより解説
ゲーテの名作「ファウスト」の冒頭、碩学ファウストの慨嘆の言葉である。ここに知識人の変わらぬ悲哀がある。
いくら神学を勉強しても信仰が深くなるわけではない。或いは段々と神から遠ざかるであろう。いくら科学を研究しても、安心立命が得られるわけではない。あるいは自己を喪失することもあろう。魂の感動に基づかねば眞の生命を得ることはできない。
日本近代の哲学界に最も高名であった西田幾多郎教授が、晩年禅に入って、余が禅を学のためになすは誤りなり。余が心のため、生命のためになすべし。見性までは宗教や哲学の事は考えずと言っている。知識人に対する好い教訓である。 活眼 活額