23日 近代文明の無反省発達その一

 世界的に通有現象でありますが、あまり無反省に近代文明が唯物的・機械的に発達いたしました。人間がだんだん生活の余裕を失って、反省とか思索ととかを失くしてしまって、この文明の雑駁な刺激に駆り立てられて、精神的にも、実生活上も昏迷しておる。早い話が、昔は着るものも、食うものも、見る物も、極めて簡単であったたからそれだけ余裕があった。今は着るもの一つにしても実に贅沢になり、食いものにしても、冷凍機械や缶詰や、そういうものが発達し、交通が距離をなくし、地球の距離を滅却したといわれるぐらいに便利になりましたので、運輸も迅速になり、世界中のものが集まる。ちょっと街へ出てみると、日本料理から中国料理から西洋料理、とにかくありとあらゆる料理がある。