鳥取木鶏研究会 2月例会 平成19年2月5日 月曜日 

テーマ 東洋宰相学―人物学  

政治とは人物,  人物とは人間学、  

宰相とは何ぞや ―大臣とは何ぞやと同じ。

宰相・大臣とは

人間を支配し、人間の運命、民族、国家の治乱興亡を決める

人間の中の人間らしい、精神、内容、才能を持つ人間即人物でなくてはならぬ。

人物洞察

八観六験の法 

八観とは次の八つの見地、観点から人を観察、検討。

@  通ずればその礼する所を観る。

A  貴ければその進む所を観る。

B富めばその養ふ所を観る。

C聴けばその行う所を観る。

D(いた)ればその好む所を観る。

E習へばその言う所を観る。

F窮すればその受けざる所を観る。

G(いや)しければその()さざ所を観る。 

六験と言う見地、格言。

@之を喜ばしめて以てその(しゅ)(ため)す。

A之を楽しましめて以てその(へき)を験す。

B之を怒らしめて以てその節を験す。

C之を(おそ)れしめてその特を験す。

D之を苦しましめて以てその志を験す。

E之を悲しましめて以てその人を験す。

大臣の分類 

第一等、寛厚(かんこう)深沈(しんちん)遠識兼(えんしきけん)(しょう)、福を無形に()し禍を未然に消し、智名勇功無くして、天下・陰にその()を受く。

第二等、(ごう)(めい)・事に任し、慷慨(こうがい)・敢て言い、国を愛すること家の如く、時を養うること病の如くにして、(はなは)鋒鋩(ほうぼう)(あらわ)すことを免れず。得失相半(とくしつあいなかば)す。(鋒鋩=刃物の切先)

第三等、安静、時を()い、(やや)もすれば故事に(したが)うて、利も(おこ)(あた)わず、害も除く能わず。

第四等、(ろく)()し望(人望)を養い、身を保ち、(ちょう)を固め、国家の安危(あんき)(ほぼ)(こころ)に介せず。

第五等、功を(むさぼ)り、?(きん)(ちぬる、争い、血を見るような事)(ひら)き、(ちょう)(たの)み、威を張り、是に(もと)り,情に任せ、国政を(どう)(らん)す。

第六等、(かん)(けん)凶淫(きょういん)煽虐(せんぎゃく)肆毒(しどく)、善類を賊傷(ぞくしょう)し、君心を蠱惑(こわく)(虫が食う)し、国家の命脈を断じ、四海の人望を失う。 

こういう人間学、それに基づく道徳学、政治学というものをやりながら内外情勢を観察すると本当に好い学問になる。

これを実学という。 

           鳥取木鶏研究会 代表  徳永圀典