徳永の「世界管見――2月」
世界は、アメリカのトランプ大統領が喧しい。
起きている諸般の現象をつらつら、大局的に、歴史的に、哲学的に俯瞰して見るに、
1.
トランプ現象の本質は
1.
白人主義が根底に存在しトランプエネルギーの源泉となっている。要するにアメリカの存立の基盤である底辺の白人の衰退が根幹に在ると洞察する。それが証拠に、英国を格別の国とし同質と確認したこと、黄色人種が白人を凌駕しつつあること。それは徳永のよく申す産業革命以来とも言える「西洋の原理の断末魔」かもしれないのであります。
2.
それは、中国の勢力が侮れなくなっていること。
3.
中国台頭に敵性があると見たこと。オバマ時代にそれが増大し中国の野望が明白化したこと。
4.
その主たる原因がアメリカの赤字がそのまま中国の軍事力に大きく貢献していることに気が付いたトランプ、アメリカの経済再生を企図している。
5.
中国は無料でアメリカ初めの技術を盗み益々進化して更なる脅威となってきつつあること。
中国からものを買えば買うほど、中国は強くなるのだ。
日本は、そして世界一の対外資産保有の成功者である。弱い時なら、あの竹下の時のように、360円から一挙に230円で解決できたが、現在はそれは不可能である。
6.
これだけ、あからさまに中国への接近を避けているのは単なるディール、駆け引きではあるま
いとみる。
7.
私が観察していると、トランプの根底には、政治は主席顧問のバノン氏、相当な白人主義者、そして国家通商会議委員長をしているカリフォルニア大学教授のナバロ氏の主張通りであります。そして、ウオール街の主・ゴ―ルドマンサックスのトップを二人閣僚としていることからお得意の虚業・金融と経済で中国を攻めてくると私は見ているのであります。
8.
ナバロ氏「米中戦争が起きる確率」というタイトルで、以下のように書かれている。
《世界史を概観すると、一五〇〇年以降、中国のような新興勢力がアメリカのような既存の大国に対峙した一五例のうち一一例において(すなわち、七〇%以上の確率で)戦争が起きている》
第5章は「中国共産党の武力侵略」として、チベットやウイグル、中ソ国境紛争、台湾海峡危機、沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中の緊張などを紹介。「歴史を振り返って分かることは、中国共産党が政権獲得以来六〇年以上にわたって武力侵略と暴力行為を繰り返してきたという事実」と喝破している。
同書はさらに、公然と条約を破る中国がフェアプレーを見せる可能性は非常に低いと断言。軍事力や経済力など「力による平和」を提言し、日本などの同盟国を守り抜くことを訴えているのだ。
「米中が軍事衝突する可能性は高い。1982年に英国とアルゼンチンが戦った『フォークランド紛争』ぐらいの規模ではないか。マティス氏の来日はそれを踏まえているとみた方がいい」という。
ちなみに、前出の『米中もし戦わば』では、米中戦争の引き金となる場所について、「台湾」「北朝鮮」「尖閣諸島」「南シナ海」「インド」などを挙げている。
2.
アメリカは賢くない。
1.
戦後、ベトナム、イラク、アフガン、とアメリカは疲弊している。国力が減衰し、国内生産が海外へ流出し、特に中国が、「量の質的変化」を享受する段階へと高まって、アメリカは本能的危機感を抱いている。
2.
韓国は、大統領が、難題解決に、オカルト的、呪術的なものに依存していた事が暴露された。
近代から一挙に朴は古代呪術に帰ったのだ。
3.
中国とて、中世の経験がないから、数千年前の古代中国的発想に帰るのである。
4.
アメリカも、中世の経験が無いから、東京裁判で、近代法に依拠しないで一挙に古・中世的暗黒の裁判をやってしまった。
3.
中世の経験とは、古代から近世への踊り場で、近代的知性の場でありましょう。その知性の場がなく一挙に近代国になっても、近世知性が身につかず思考が古代のままである。これが徳永流見解であります。
4.
アメリカに関してもうせば、まだ疑念は残る。それは親中国のキシンジャーの子分が国務長官の近くにいること、トランプの顧問スカラムッチがトランプの娘婿・クシュナ〜の親友である中国投資会社と230億円の買収合意していること。まだ私は決定的に反中国とみておらない、トランプは大きなディールをする男だ。中国との裏取引に警戒をしなくてはならない。
5.
中国のアリババ集団のトップ馬雲会長は1月9日アメリカで100万人の雇用創出を打ち出した。みな中国共産党指導部の差配と云われている。
彼らは、やることがでかい。要注意なのであります。日本は、米中取引に出し抜かれるのを危惧しなければならぬ。
6.
オバマは、インテリで弱く当初から舐められていた。トランプは、今、「怖い男」だと見せている段階かもしれない。
平成29年2月6日
鳥取木鶏会 会長 徳永圀典