国家神に関して 徳永圀典
日本書紀 神代下 第九段 天孫降臨
皇祖であるタカミムスヒの尊は、ニニギを特に寵愛して崇め養育なさつた。そして皇孫である天津ヒコホノニニギの尊を立てて葦原中国の君主にしようと思われた。
日本書紀 神武天皇即位全紀 神武東征冒頭
明快に、日本書紀の天孫降臨の本文は「タカミムスヒ」が国家神=皇祖神として掲げられています。タカミムスヒが天皇家の先祖であるニニギに国を授けたとある。
古事記は真っ先に掲げているのはアマテラスであるが一箇所だけ。あと総てはタカミムスヒの名前で二神を命令の主体としている。
1.
天照大御神の命もちて、「豊葦原の千秋の長五百秋の水穂の国は、我が御子正勝吾勝勝速日天忍穂耳命に知らす国ぞ」と言因さしたまひて、天降したまひき。
2.
天照大御神・高木神の命もちて、太子正勝吾勝速日天忍穂耳命に詔ひしく、「今、葦原中国を平らげをわりぬと白す。故、言依さしたまひし随に、降りまして知らしめせとのりたまひき。
記紀神話の二元構造
日本書紀の神代上
イザナギ、イザナミ?アマテラス-スサノオ-オオクニヌシ
神代下
タカミムスヒを主神とする天孫降臨
この二つの神話が、下巻の初めの「国譲り神話」で結び付けられて一つの物語になっている。
イザナギ・イザナミ系は日本土着の4世紀以前からの文化。
5世紀に取り入れたのがタカミムスヒとのは定説。
高句麗の影響、源流は北方ユーラシア大陸の天孫降臨思想。
日本書紀が出来たのは天武天皇の律令国家形成の時期である。