2月7日 解説
読書と言えば受験勉強でないかぎり、読書の楽というのが常である。いかにもそれは、先の人が皆いい古している。自分は読書の苦を言おう。苦が無い処に楽はない。楽は畢竟、苦から生ずる。何が苦しいと言っても、思、即ちものを思う。物にあこがれることより苦しいものはないが、その中でも古人を思う。古人にあこがれるのが一番苦しい。
古人を思って、自分の足りなさが堪えられないことがある。古人の境地に共鳴して思わず泣けることがある。これは説明まできないことであるが、そこに言うに言えない楽しみがあめという。 興亡秘話