今、鳥取県人がクローズアップ
今、鳥取人が注目されている。三名の名前をまず挙げよう。
1.岡田資陸軍中将―元・東海軍管区司令官。
2.直木賞受賞の女性作家・桜庭一樹さん。
3.そして、美少女・日本一に輝いたグランプリ蓮佛美沙子さんである。
岡田資中将は、私の母校・鳥取第一中学校の出身であり、蓮佛美沙子さんも同校・即ち鳥取西高校の出身である。桜庭さんは鳥取県西の
蓮仏さんは、伝説の映画『転校生』のリメーク作品の主演を務める。
桜庭さんは直木賞を「私の男」で受賞した。
岡田資陸軍中将
さて、岡田資陸軍中将である。分かりやすく箇条書きで記してみたい。
1.不条理な「戦犯裁判を一人で戦い抜いた武士」である。
2.B級戦犯として、昭和24年9月17日、堂々として所信を貫き、同じ監房の同僚戦犯者に対し、「君たちは来なさんなよ」と告げて巣鴨の十三階段の露と消えたのである。
3.岡田中将は、戦犯裁判の判決「絞首刑」に対して、ただ一言「本望」であると傍聴席の妻に言われたという。
4.岡田中将の戦犯容疑とは何か。
それは、戦争中にアメリカが行った名古屋近郊の「無差別爆撃」に対して、東海地区防衛第十三方面司令官としてアメリカB29爆撃機に砲弾を浴びせ撃墜したB29の搭乗員の処刑命令を発したことである。
5.名古屋近郊のこの時のアメリカ空爆の被害は、
一夜にして
@焼失家屋2万6千戸。
A罹災者10万5000人。
B死者、519名。
の大被害である。この無差別爆撃は、当然のこと「国際法違反」である。
6.岡田中将は、不時着して捕虜となった搭乗員を、東海軍は軍律に基づき略式裁判をして死刑に処した。
岡田中将は「搭乗員が国際法違反を知っていたかどうかは無関係、私が違法と判断した」とした。
戦後、アメリカ占領軍は、これを戦争犯罪行為として戦犯裁判にかけたのである。
7.戦争を裁判にかけるという、前代未聞の摩訶不思
8.民間人への無差別爆撃という「非人道的行為」の国際法違反を岡田中将は、自らを正当化することなく、堂々と主張した。
9.また、処刑は「軍律」に準拠したものであり、その責任は全て司令官たる自分に在る。部下には一切の責任は無いと終始一貫して主張した。
10.岡田中将の遺稿や書簡には下記の記述があり、現在の日本の政治家・官僚と比して、さてしもと、心の震う思いがする。
「敗戦直後の世相を見ると、言語同断、何も彼も悪い事は、みな敗戦国が負うのか?
なぜ、堂々と世界環視の内に、「国家の正義」を説き、「国際情勢」、「民族の要求」、「さては戦勝国の圧迫も、また重大なる戦因なりし事を明らかにしょうとしないのか? (中略)
・・・組織ある我等の一団を以て、余の統率下に飽くまで戦い抜かんと決心した次第である」
11 私は、戦国時代の鳥取城主であった、吉川経家(公と岡田中将と強く重なって見えるのである。鳥取人の「将の資質」をである。
径家は、天正9年(1581年)3月、豊臣秀吉と戦う山名氏旧臣の因幡国・鳥取城(久松城)の城将として兵糧攻めにあい、城内の人々の命と引き換えに開城、秀吉の助命提案を断って自刃した方である。
鳥取人の誇りとして、仰ぎ見るお方で、現在でも母校・鳥取西高校のお堀端・弓道場の前に銅像がある。
この岡田中将が映画となった「明日への遺言」である。
堂々と戦争裁判を戦い抜いた我らの先輩・鳥取人がクローズアップされる。
3月1日に封切となる。
平成20年2月9日
徳永日本学研究所 代表 徳永圀典