東山三十六峯 

京都盆地の東側に位置し、北は比叡山から南は稲荷山まで約12キロにわたって連なり、琵琶湖との間を隔てる山々である。「峰」といっても、最も高い比叡山でも848m。ほかの山の標高は480230mくらいしかない「丘陵」である。

この呼び名は、江戸時代の儒学者、頼山陽が東山の景色を愛し、中国の嵩山(すうざん)の三十六峰になぞらえたのが元になっている。 

比叡山、御生山(みあれやま)赤山(せきざん)修学院山(しゅがくいんやま)、葉山、一乗寺山、

茶山、瓜生山(うりゅうやま)、北白川山、(つき)待山(まちやま)如意ヶ岳(にょいがたけ)、吉田山、紫雲山(しうんざん)(ぜん)気山(きさん)、椿ガ峰、(にゃく)王子山(おうじやま)、南禅寺山、大日山、神明山、粟田山、華頂山(かちょうざん)、円山、長楽寺山、双林寺山(そうりんじやま)、東大谷山、高台(こうだい)寺山(じやま)(りょう)鷲山(じゅせん)(とり)辺山(べやま)、清水山、清閑(せいかん)寺山(じやま)、阿弥陀ガ峰、今熊野山、泉山(せんざん)()日山(にちさん)、光明峰、稲荷山(いなりやま)である。 

毎年、816日の夕、大文字山(如意岳)で大の字を燃やす。盆の精霊送りである。京の夏の風物詩、まことに優にして哀れ、忘れ難い哀愁を覚えるものだ。大の字は人体を現し、煩悩を焼き尽くす意味がある。 
                              
    
                        岫雲斎圀典