中国メディアの中国冶金網は26日、製造業が苦難に直面していると論じた。

 中国メディアの中国冶金網は26日、中国経済の高度成長を支えるエンジンだった製造業はかつて中国の国内総生産の3分の1を生み出す存在だったと伝える一方、中国経済が中低速の安定成長を意味する「新常態」を迎えて以来、製造業が苦難に直面していると論じた。

 記事は、中国から外資メーカーが相次いで撤退していることを紹介したうえで、「中国の製造業は先進国と開発途上国によって挟み撃ちにされている状況にある」と主張し、まさに「前門の虎、後門の狼」という状況に直面していると論じた。

 続けて、世界金融危機の発生後、日本やドイツ、米国などの先進国では製造業の価値が見直され、実体経済を強化し、雇用を増やすため、製造業の国内回帰を促していると指摘。 さらに、安価な労働力や原材料を武器に東南アジア諸国が製造業を強化し、もともと中国にあった工場などを吸い寄せていると主張し、「東南アジアに工場を建設する中国企業もあるほど」と論じた。 記事は、受託製造が中心だった中国の製造業は「かつてない危機に瀕している」とし、外資メーカーの撤退とともに倒産する中国企業が増え、職を失う労働者が増えていることを伝えた。さらに、人件費の安さなど低コストを武器としていた中国の製造業は今や生産能力の過剰などの問題を抱え、産業としてのグレードアップやイノベーションによる成長も出来ない状況にあると主張した。 さらに、中国の製造業は「グローバルな産業チェーンのなかで見れば末端に位置する」とし、中国企業が所有する基幹技術や知的財産権は決して多くないと主張。中国の製造業からイノベーションが生まれにくい理由は「環境が整っていないため」であるとし、中小企業は特にイノベーション能力に欠けると指摘。中国の製造業が直面している苦難を脱するためには法整備や政策などの環境を整え、中小企業を発展させる必要があるとの見方を示した。