鳥取木鶏研究会 3月例会
次ぎの「失われる10年の到来」――つるべ落としの日本経済
財政危機であります、可なり深刻な議論が討議されてきた。
論点を整理してみます、
西暦2000年から10年経過、--日本の長期低迷、新興国の台頭
今年は中国が国内総生産GDPで日本を上回る。
-40年間で幕引きすることとなる。
日本のバブルの頂点---1989年、 株価38915円がピーク。
1990年には4万円を信じた。
それから20年後の2009年終値は1万円。---この長期低迷。
「バブル経済」と1990年の流行語。
経済の物差しである「名目GDP」
年間400兆円に乗せたのは1989年、平成元年。
500兆円------------1996年、平成8年。
----これは、バブルが崩壊しても日本経済は7年かけて100兆円拡大したこととなる。
――実は、民間企業や家計がバブル崩壊後遺症の中で、この景気拡大を支えたのは公共投資であった。
翌年1997年、不良債権問題が金融危機となり火を噴き、日本経済は決定的に失速を始めた。その直後、小泉改革で一旦立ち直ったかに見えた。
1998年、リーマンショックを契機につるべ落としとなり今直立ち直らぬのが現状である。
直近のGDP
2009年のGDP―――470兆円。--最低水準。これは日本経済が失われた10年どころか20年トンネルを意味する。マクロの需給ギャップは30兆円。
――企業と会計が傷ついて内需が低迷したのが原因。
――2003年以降、特に外需に影響されやすくなった。
民主党の経済路線の行くへ
民主党の経済路線は一口で言えば「福祉経済路線」である。この路線の成否が、これからの10年の日本経済の進路を決める。
――さて、どうなるか、私の結論、
経済の立て直しは極めて難しい。
日本経済の「決定的な破局」を齎しかねない。過去20年間、底割れしそうになる度に、経済を支えきた財政の破綻であります。
日本の政府債務残高――国と地方で2009年度末 825兆円、これはGDPの200パーセントである。
先般、金融危機に陥り大混乱の恐れの起きたギリシャは120パーセントであり日本のそれが危機的状況が理解できます。
――アメリカの世界10大地政学的リスクーー
税収悪化の様相
2009年度の税収は36兆9000億円、当初見込み9兆円減。
――法人税も所得税も振るわない。
2010年度も37兆4000億円と回復は不調である。
そのような中で、政権公約の名の下に財政支出が膨らんでいます。
2010年度当初予算は92兆3000億円、90兆円超えるのは初めて。
不足は、国債発行で賄うしかない、返す当てのない政府借金が膨らむ。10年度は埋蔵金取り崩しの見せ掛け。
12月になり、国債暴落したギリシャは、国債の格付けが暴落、次いでスペイン、ポルトガル、イタリア、何れもこの国々は財政赤字が巨大。
これは日本のことでもある。
民主党が総選挙で圧勝したのを機会に、外国人投資は、日本の中長期債券を9月以降3兆円売りこしている。これは日本の財政が持たなくなっているとのシグナルであります。
だが、鳩山内閣は馬耳東風の感があります。
世界でよく言われる言葉に、日本の国債は、国内投資家の国債保有比率が94パーセントもあるということ。日本は経常黒字国だから国内の資金で国債が消化されているのだ。(企業、金融機関、個人で)。
このメカニズムが、失われた20年で、経済が決定的な破局を防いだ理由なのであります。
だが、その国債による資金で行われた政府の仕事は極めて不採算にものばかりで、経済全体の活力、競争力を落としてしまつた。
民主党の福祉経済路線は、過去と同じメカニズムで「企業から家計へ」のスローガンで大々的に策動されつつある。
だから、マネーは国債に吸い込まれ、非効率な政府部門ばかりが肥大化して行く。
ノー天気な鳩山ち違い、財務省は、その受け皿を容易している。
1.
民営化を止めた郵貯であり簡保なのです。貯金枠を無制限にしようとしている、国債に限度があるから、郵便資金で調達なのである。
2.
それでも心配なら、戦前の軍部と同様、国債を日銀に買わせるでありましょう。
再び、民主党政権は、戦前の軍部同様に、国債無制限への道を取ろうとしている。政府部門の膨張の悪循環を遮断しなくては亡国へまっしぐらであろう。
デフレをストップさせ、成長の設計図を描くこと、これこそ日本としての最優先課題でなくてはなるまい。
2020年には、高齢化が一段と進み、肝腎の国内貯蓄が底を尽き、国債消化が難しくなっているであろう。否、それまで待たないであろう、市場は既にそれを直感し先取りをしている。
ここ1-2年で、無責任なことをすれば、国家破綻の引き金を引くことは間違いない。
実に、悪いタイミングで民主党政権が出来てしまった。
これを打開するには、政治家しかない。心ある政治家が集合し、国難の打開を一日も早く手がけて欲しい。
平成22年2月20日
徳永日本学研究所 代表 徳永圀典