管政権の手詰まり

       西川善文氏 三井住友銀行名誉顧問 

民主党管政権は、早くも終焉が近づいている。

その理由は、

第一に、一昨年8月の衆議院選挙に際して華々しく掲げたマニフェスト(政権公約)が事実上破綻していることである。

   民主党は、このマニフェストにおいて予算の組み替えや削減で叩き出せるとした財源は16.8兆円であるが、鳴り物入りで行った事業仕分けによって捻出した財源はせいぜい5千億円程度だった。   テレビまで入れたド派手なパーフォーマンスに終ったということである。

   その反面、選挙目当てに打ち出した子供手当て、農家の戸別所得補償等には巨額の財源が食われて、財政的にマニフェストの実行は極めて難しい状況となっている。

   今や、民主党に対する国民の期待は裏切られ失望に変わっている。

第二に、管総理を始め、民主党幹部は、小沢元代表など一部を除き野党暮らしが長く、敵失を責め立てたり、反対のための反対をしたりすることには長けているが、党の綱領すらなく、政治理念もあいまい、バラバラであるなど、政権政党の体を為していないし、また、それを誰一人として自覚もしていない。

第三に、党内では、小沢元代表の「政治と金」問題に右往左往し、小沢処分に関しては執行部は勇ましいことを言っていたかと思うと、いざとなれば腰砕けで「党員資格停止」という最も軽い処分でお茶を濁す始末で、党内外の不興を買ってしまつたことである。

第四に、小沢氏の党員資格停止処分に反発して小沢グループの議員16名が新たな会派を結成して、予算関連法案の造反の可能性をちらつかせ始めたことである。これは民主党の政権運営上の泣き所となりかねない。

第五に、こうなってくると報道各社の直近の世論調査の結果は、内閣支持率は軒並み20%を割り込み、民主党支持率も10%前半まで落ち、自民党に逆転されている。

このような民主党政権の体たらくを見せられると、国民は民主党が考えているであろう総理の首のすげ替えより衆議院の解散総選挙を望むと思うが、民主党としては折角圧倒的多数を占めているのだから、議席が過半数に満たない参議院の多数派工作に懸命に注力しながら総理の首をすげ替えて政権の延命に努めるであろう。

そうなると、総理の顔が変わるだけで何も変わらず、政治空白は続き、多くの国民の閉塞感は解消しないが、当面は自民党、公明党の野党に従来以上に頑張ってもらって、現連立政権及び民主党を追い詰める以外にない。

野党の責任は重く、ここが力の見せ所である。

頑張れ自民党! 公明党!