韓国こそ「正しい歴史直視」が必要

右傾化のレッテル貼り 韓国こそ「正しい歴史認識」を      サンケイ2013.3.18

日韓外務当局による「日韓記者交流」で11日から16日まで、朴槿恵大統領の新政権が発足したばかりのソウルを訪れ、政府当局者、韓国人記者、さらには一般の高校生までが日本の「右傾化」への懸念を口にすることに驚いた。この言葉は、日本を「過去」のイメージでとらえるための便利な道具なのかもしれない。

 「日本は右傾化しているのではないか?」

 「軍備増強や歴史認識での日本の強硬姿勢への心配が広がっている」

 外交通商省を担当する韓国メディアの記者らは12日、日本人記者団との意見交換会でこう指摘した。視察した高校でも、男子生徒が「日本人は極右の傾向を持っている」と口にした。

 安倍晋三首相が11年ぶりに防衛関係費を増額し、旧日本軍による慰安婦募集の強制性を認めた「河野談話」の見直しに意欲をみせたことを一緒くたにして「右傾化」のレッテルを貼れば、韓国人には居心地がいいのだろう。

 ただ、防衛関係費の増額は、核・ミサイルの開発を進める北朝鮮や、沖縄県・尖閣諸島で領海侵入を繰り返す中国を念頭に置いたものであり、韓国に向けられたものではない。日韓両国が米国と緊密な連携を図る上でプラスになるはずだ。

 尹炳世外交通商相は15日、日本人記者団に「歴史問題について日本側のリーダーたちが正しい認識を持ち、行動で示してほしい」と答え、慰安婦問題での前向きな対応を促した。

 しかし、島根県・竹島に関する質問には答えず、それどころか、外交通商省当局者が「質問はなかったことにしてほしい」と求め、拒否する記者団と押し問答になった。国内で「弱腰」と報じられることを懸念したのだろう。

 竹島問題に関し、尹氏は閣僚候補として2月28日に行った国会の人事聴聞会で「日本帝国主義の侵略過程で起きた歴史問題」と位置付け、「日本が、紛争地域化しようという戦略がさらに強化されている」との見解を示している。

 日本が閣議決定によって竹島領有の意思を再確認したのは、1910(明治43)年の日韓併合に先立つ1905年のことであり、1950年代から韓国が不法占拠を続けている。竹島問題で韓国側が「正しい歴史認識」を持つことが、「未来志向の関係を構築していく」(朴大統領)ための第一歩になるはずだ。(加納宏幸)