「なんちゃって反米」世代のツケ
小池百合子 衆議院議員
チュニジアからの飛び火で一気に火がついたエジプト。ムバラク大統領を30年間の長きに渡って占めてきた大統領の座から引き摺り降ろしたのは「イルハル ムバラ-ク(ムバラク行け、辞めろ)の掛け声のもとに集まった群衆の叫びだった。
若年層の高い失業率、食糧価格の上昇など、エジプトの庶民の不満は長年鬱積していたことは事実だ。大統領辞任で彼らの一時的カタルシスは実現できたが、問題はその後である。ムバラク辞任後の青図はない。
「ムバラク、辞めろ」と叫ぶエジプトの群衆と、明確な安全保障政策はもちろん、党の綱領さえなく、「政権交代」だけを叫んだ民主党を重ねざるを得ない。
ただし、純粋に「生活が第一」を心から叫んだエジプトの群衆と、子供手当てなどのバラマキ公約で有権者を惑わした民主党を同類にするのは、エジプト人に失礼かもしれない。
小沢一郎氏は「安全保障政策さえまとまらない政党は、政党とは言えない」として新進党を解体した。
処が、民主党を乗っ取った後は、「安保や外交は、政権を取りさえすれば、まとまるものさ」と党内の政策論議を後退させてしまった。
鳩山、管の両トップは、「なんちゃって反米」世代とはいえ、真剣に日本の在り様を思索したかも、今では疑問符をつけざるを得ない。
ツケは普天間問題はもとより、尖閣沖での中国漁船衝突事案や、北方領土問題に対する迷走に表れている。
その場、その場の対症療法では迷走が続くばかりであり、日本の迷走はわが国を虎視眈々と狙う諸国に付け入るスキを与えるだけだ。
国家としての背骨である憲法問題から真摯に取り組み、一刻も早くも日本のあるべき姿を確立すべきだ。
民主党には野党に戻り、党綱領をまとめてから、出直されたい。