鞍馬 

(わび)しさに貝吹く僧よかんこ鳥   宝井(たからい)()(かく) 

春ごろ鞍馬にこもりたり、山ぎはかすみ渡りのどかなるに、山の方よりわづかにところなど掘りもて来るもをかし。  更級日記より 

ところは山芋のこと。 

山の上の本堂近く、道から少し入った所に、与謝野晶子と鉄幹の歌碑が並んでいる。
ここは先輩・山友達・近藤治衛氏(近藤商店オーナー)と登山して二の瀬へと抜けた思い出がある。
 

遮那(しゃな)(おう)が背くらべ石を山に見てわが心なほ明日を待つかな          与謝野 寛 

何となく君にまたるるここちして出でし花野の(ゆう)月夜(づくよ)かな          与謝野晶子 

鞍馬寺()の芽に添へて賜はりぬ朝がれひにも夕がれひにも  与謝野晶子 

ここの名物は、木の芽煮、山椒の甘煮である。
               
                    岫雲斎圀典