遺詠(いえい)

          23才、沖縄で戦死した緒方穣氏の出撃に際して。

      懐しの町 懐しの人 今吾れすべてを捨てて 

   国家の安危(あんき)に (おもむ)かんとす

  悠久の大義に生きんとし 
今吾ここに突撃を開始す

  魂魄(こんぱく)国に帰り 

  身は桜花(おうか)のごとく散らんも

  悠久に護国(ごこく)の鬼と()さん

  いざさらば われは()えある山桜 

  母の()もとに帰り咲かなむ