3月3日 日本人の実態その三

 そこで、先生に伺いたいのだが、私はこう思っている、どうせ免れないなら、私は人間同士がいがみ合う災厄・内乱より、私も逃れられないかもしれないが、天災・地震のほうが日本人の為にまだましだと、人厄は恨みが残る。天災はどんなに酷くてても諦めがつくし、人間が反省し、戒慎する。それで私はどうん地震で済ませて下さいと神様に祈っているんです。先生、この私の考えは間違っていますか。

私は次第に襟を正して聴き入った。彼の言うことは真剣で真実である。くたばれ、日本人!と放言する者は沢山いる。それはつまらぬ棄台詞に過ぎない。然し、この老農の切々たる意見には全く感じ入った。

               憂楽秘帖