ファッション政治の自己顕示
かってハワイで開催されたシンポジュームで、中国共産党の機関紙「人民日報」の論説委員が、
「人民に読まれなくて困っている」と嘆いていた。
これを聞いて、一般の中国人の感覚は、なお真っ当なのだと思う。
読者本人が9千万人党員の一人ならいさ知らず、支配を受ける13億人の誰が、宣伝と説教が満載の共産党機関紙など読むものか。
いや、党員でも読みたくはなさそうだ。
日本の政党の中で、
一党独裁の中国共産党と唯一「友好関係」を結んでいるのは日本共産党である。
空気を読むのがうまい志位和夫委員長が最近、
香港への国家安全法の導入で中国側に抗議した。
中国共産党と同様にみられてはマズイとの判断なのか。
友党に対して、人権抑圧の強化を中止せよと批判したとは結構なことである。
党機関紙「しんぶん赤旗」は、人民日報よりも随分と「営業努力」のあとが見られる。
その日曜版には、
なじみのタレントや女優ず登場するからホッコリさせて、多様な支持があることを思わせる。
登場人物や寄稿者は、よほど日本共産党への信頼を寄せるか、
党の暗い過去を知らない世代なのだろう。
かつては、「天皇制打倒」を唱え、火炎ビン闘争を行うなど、
なんと云っても、暴力革命を目指していた政党であるからだ。
近頃、目を引いた掲載者は
女優の小泉今日子さん、
歌舞伎俳優の松本幸四郎さん、
それに歌手の加藤登紀子さんらで、
にこやかな写真と共にインタビュー記事が一面を大きく飾っていた。
中でも話題の人物は
「なんてったってアイドル」の女優、小泉さんで、
「黒川検事長問題」に一石を投じたお方である。
「検察庁法改正案に抗議します」
彼女を筆頭に芸能人たちが、これに和した。
事は定年延長問題なのに、かの検事長は、賭けマージャンをしていたことが発覚し、予想外の結末を迎えたから話にならない。
だが、その途中経過を眺めると、
どこか懐かしい安全保障関連法の時に、
「戦争法案を許すな」とタレントたちが、声を上げた騒ぎを思わせる。
彼女を筆頭に芸能人たちがこれに和した。
事は定年延長問題なのに、
かの検事長は、賭けマージャンをしていた事が発覚し、
予想外の結末を迎えたからお話にならない。
だが、その途中経過を眺めると、
どこか懐かしい安全保障関連法の時に、
「戦争法案を許すな」と
タレントたちが声を上げた騒ぎを思わせる。
振り返ってみれば、
彼らの大半は、安全法制の条文を知らず、
共産党と一緒に
「戦争法案反対」、
「徴兵制の復活を許すな」
などと叫んでいた、
実際には、
戦争法には、ほど遠い条文で、当然ながら自衛隊は戦争も徴兵制も実施される気配はあり得ない。
人々をさんざん扇動しておいて、このプロパガンダ発言に対する責任は誰もとらない。
タレントや俳優が転換期や黄昏時を迎えると、ハリウッドを真似て政治的な発言で脚光を浴びる。
知名度のあるうちに売らない手はないと考えるのかどうか、かような野心を見抜くのは政党の候補者スカウトマンで、売る人あれば買う人あり。
知事選や参議院選への候補者として声がかかるかもしれない。
そこへいくと、ハリウッドの俳優たちし、ファッション政治や政治的な打算より寧ろ、自由や人権のために私財をなげうってでも力を尽くす真摯な人が多い。
チベット仏教の精神的指導者のダライラマ十四世が訪米中の1995年9月に、俳優のハリソン。フォード夫妻が、アメリカ上院外交委員会で中国から弾圧を受けるチベット人の悲惨な実態を証言する姿を見た。
夫妻は現地視察した際に雇った通訳のリンチェン青年が、帰国後に投獄された事実を語った。
さらに夫妻の前でチベットの歌を披露したばかりに逮捕され、獄死した娘の話を切々と訴えた。
リンチェン君の釈放運動を成し遂げた夫妻は、
「残忍な中国占領下のチベット」を告発していた。
夫人のメリッサさんは、世界的なヒット映画「ET」や、ダライラマの半生描いた「クンドゥン」のシナリオ・ライターで、支援団体インターナショナルキャンペーン フォー チベットの理事でもあった。
やはり長くダライラマを支援してきた俳優らリチャード・ギアさんがいる。
彼は、中国の江沢民国家主席が訪米した1997年10月に、ワシントンでチベット問題への抗議デモを呼びかけ、ハリウッドの人気スターたちを続々とワシントン入りさせた。
その中にフォード夫妻は勿論、スティーブン・セガール、シャロン・ストーンさんらがいた。
「しんぶん赤旗」の日曜版に登場の
日本人俳優たちは、
政党の呪縛から離れ、フォード夫妻はギアさんらの
無私の精神で、被抑圧者を救済しようとする姿勢を見習って欲しい。
彼らが日本共産党を知らない世代であるのなら、
尚美学園大学名誉教授、
梅沢昇平さんの
最新刊「こんなに怖い日本共産党の野望」(転展社)の
一徳をお勧めする。
小泉さん世代の人々には必須の書物である。
下記より抜粋
湯浅 博氏著
アフターコロナ 日本の宿命
世界を危機に陥れる習近平中国
令和3年4月1日
徳永日本学研究所 代表 徳永圀典