日本人の知らないところで日本の命運を決める重大な事件が起きている。

 中国が今後もアメリカのドル資産を購入することで、とりあえずドル体制を助けることにした。「中国は破産しかかっているアメリカのドル体制に組み込まれることによって、ドルの罠にはまった」と言われているが、同時にドルにペッグされることによって国際通貨としての地位を確立した。

 ペンタゴンの分析家たちは、アメリカが二度とアジアに出ていくことはないと見ている。これから北東アジア、東南アジア、中東にかけて大混乱が起きることは避けられない。日本が必要としている石油や貿易のための海上輸送路が大きな影響を受ける危険がある。そういった大激動の予測にもかかわらず、アメリカはむしろ静かに孤立主義に立ち戻ろうとしている。

 アメリカの変化は、日本やアジアに重大な影響を与える

 



1 米中通貨同盟の成立

 むろんこうした名称の文書ができたわけではない。だが、2012年冬、アメリカ政府高官が北京を極秘訪問、「1ドル=6人民元」の交換レートで安定させる取り決めが持たれた。莫大な財政赤字に苦しむアメリカのドル崩壊を防ぐのが目的。中国は目減りを続けるアメリカのドル資産を買い続けることを約束。オバマと習近平の密約だという。人民元はドル体制に組み込まれることで国際通貨の地位を持つことになった。アメリカはドルを基軸通貨として中国に受け入れさせる代わりに、安い中国製品を受け入れる仕組みを恒常化した。これを米中通貨同盟と筆者は呼ぶ。

 アメリカにとって、一応安全保障条約を結んでいる日本と暗黙の通貨同盟関係にある中国とどちらだ大事かはいうまでもない。尖閣をめぐる戦いが万一起こった場合に、アメリカが駆け付けるなどあり得ないだろう。今や、米中関係の方が日米関係よりも近いと筆者は言う。

アメリカは友人を裏切ってきた

 アメリカの国益を優先するためだと言えば当然だろう。筆者が挙げるのは次のような事例。

 1979年、カーター大統領はサウジアラビアと並ぶ中東の盟邦イランのパーレビ体制を人権政治の観点から批判して見放し、パリから帰ったホメイニ師による革命を誘発し、宗教政権を作らせてしまった。この後継者たちが反アメリカの姿勢をとり、結局アメリカの中東政策を破たんさせてしまう。
 ベトナム戦争時に、ケネディ大統領は、効果的な戦いができないゴ・ジン・ジェム大統領を暗殺させ、軍事政権を作らせた。
 2009年、オバマ大統領はエジプトを訪問し、ムバラク大統領に新たな中東政策を表明したが、内乱がはじまり、軍部が造反するといとも簡単にムバラク大統領を見捨てた

 日本だけが例外ということなどないだろう。アメリカに依存し続けているといつか裏切られる日が来る。アメリカが悪いのではなく、国のリーダーが国益を優先するのは当然である。通貨同盟を結んだ中国の方が万一裏切られた時のためにアメリカ金融機関へのサイバー攻撃の準備をしているという。

3
 古き良きアメリカはもうどこにもない

 「2025年後の世界」(アメリカ国防総省)によれば、アメリカ軍は東シナ海、西太平洋、南シナ海、インド洋から引き上げる。ここで大きな軍事的変動が起きる。アメリカの核不拡散政策が破綻し、世界各国が核兵器を作るようになる可能性があるという。

 また、アメリカでは人口構成が大きく変化しつつあり、いずれは白人国家でなくなり、文字通りの多民族国家となる。その時、どのような大統領が選ばれ、どのような政策をとろうとするだろうか。

4
 大志を抱いて現実に対応すべき時

 東京郊外の広大な横田空軍基地、沖縄の海兵隊基地はもう事実上あまり使われていないという。すでに、そうした現実が始まっている。アメリカ自身、もう日本を守りたくはないのである。もはや、日米安全保障条約締結当時の状況は消えているからだ。

 第2次世界大戦に敗れて以来、日本国民は心理的に及び腰になってしまった。大東亜共栄圏の夢を追うなどということは言わない。だが、東アジアの秩序は日本が中心になって維持するくらいの気迫を持って現実に対処すべきだと思う。そして、西太平洋からインド洋にかけての秩序は日本が積極的にかかわるべきだろう。そんな日本とアメリカが対等同盟を結ぶ方向で体外政策を構想すべきだろう。アメリカが弱くなったから、中国にすり寄ろうなどというのは情けない限りだ。それは負け犬根性ではなかろうか。危機はチャンスでもあるのだ。

 そのために為さねばならないことを筆者は五つ挙げている。国防体制の再編成、エネルギー政策の確立(メタンハイドレード活用)、長期的経済見通し、シーレーンの防衛、少子化対策(安易に移民に頼るのは恐ろしい結果となる)だ。

5
 昭和憲法の自己欺瞞

 最後に現憲法を筆者は昭和憲法と呼ぶ。これは日本の間接統治のために降伏文書とともに執筆したものだという。日本人の意思は反映されていない。

 

 日米安保や集団的自衛権をもはや古いと斬って捨て、これから必要になるのは相互安全保障の体制であり、それはアメリカとだけでなく、シンガポールやベトナム、インドやロシアまでも巻き込んでおり、日本がその中心となって中国を牽制すべきとしています。その為に、憲法の改正や自衛隊をアメリカ型の機能的な軍隊に再編成するだけでなく、特定秘密保護法案ではなく国家反逆罪を制定する事などが提案。その実現の為に政治家のほとんどを入れ替えなければならないとしています。
 また、靖国神社参拝についても触れており、アメリカが文句を言うのは、日本が自主防衛体制を持っておらず日米安保に依存しているにも関わらず、それをアテにして外国に喧嘩を売るようなマネをしたからだとしています。自分の国を自分で守る体制は途方も無く大事なのです。