3月5日 真の社会 その二

 知識や技術や免状資格が幅を利かせて、人間の力量や徳操などは措いて問われなくなる。これは人間が個人的精神的に死んでしまって、組織の中に化石し去らん限り堪えがたい問題であると共に、是の如き社会はやがて早晩、日新の造化から遺棄される日が来ねばならない。是れ即ち社会革命である。真の社会は飽くまでも人間生活の天地でなければならぬ。人々は各々人と為り、人を知り、人を愛し、人を楽しむ社会でなければならぬ。      東洋倫理概論