鳥取木鶏研究会 3月例会 平成19年3月5日 月曜日
テーマ 「相と運と学」安岡正篤先生講話
人間の生活・存在に関する学問、 直感に深く入る必要
東洋の学問は力があり価値がある。
COGITATIONから MEDITATION 更に
CONTEMPLATIONへ。
Arbeitswissen 労働知
Bildungswissen 形成知
Erloezungseissen 解脱知
Heilswissen 聖知
真理と学問はその人の「相」にならねばならぬ
それが動いて行動となり、生活になる、社会生活になる、これを「運」という。そうしてこそ本当の学の姿である。
学はその人の相となり、運となる。それが更にその人の学を深める。
相と運と学とか無限に相待って発達する、本当の自己を実現する。
self−realizationである。
「相学」
面は我々の相であり、相とは自己実現そのもの。顔面皮膚は最も鋭敏、体内のあらゆる機能が悉く顔面に集中している。
「形相」−外観的、表面的な静止の相。相は動く、
「歩く相」「坐する相」「怒る相」「笑う相」「泣く相」「食う相」と千差万別。
――外から修める、「形」から入ることが有効な方法――
中国、明時代の「袁柳荘氏」の
「相学」より
学問は「心相一如」でなければならない。―形も心も大切に。
「行相」
@
行は正直昂然たらんことを欲す
A
偏歪曲屈すべからず
B
頭は直ならんことを欲す
C
腰は硬ならんことを欲す
D
脳は昂ならんことを欲す
E
凡そ偏体・揺頭・蛇行・
雀鼠・腰折・
項歪は好からず
「坐相」
@
坐は端厳ならんことを欲す
A
坐は丘山の如し
B
肩は円・項は正・体は平・起坐は縵
C
若し是れ体揺ぎ、足動く者は賎なり
「食相」
@
食は口開くこと大にして合うこと小ならんことを欲す
A
項伸ぶること馬の如きは一世辛勤す
「語相」
@
声音は丹田より出づ
A
唇舌薗
B
和緩歯を露わさざるを妙と為す
C
急焦乱泛なる者は賎し
「笑相」
@
口を開いて大いに哂うは可
A
口を閉じて音無きを欲せず
B
馬嘶猿喚に似たる若き者は不可
「女人七賢」
@
行歩周正
A
面円く体厚し
B
五官倶に正し
C
三停倶に配す
D
容貌厳整
E
言語を泛にせず
F
坐眠倶に正し
「女人五徳」
@平素人と争競せず
A 苦難中怨言無し
B 飲食を節す
C 事を聞いて驚喜せず
D 能く尊敬す
「貴体」
@
臍深く
A
腹厚く
B
腰正に
C
体堅く
D
錦腸夫人と為す
「色相」もあり、その上に「神相」というものもある。
「神・気・色三件」
「相好しと雖も、気色好からざる有り」
「天晴明を得ずんば日月を得ず」
「人気色を得ずんば運通ずるを得ず」
「気開け色潤うを待ってまさに時に通ずるを得」
「気滞すれば九年」
「色滞れば三年」
「神昏ければ一世」
「三件倶の暗ければ窮苦老に到る
結局、運というものは相に現れ、相がよくなれば運もよくなる。
然し、運をよくしようと思えば、結局「心」を養わなければならないのであります。
従って、本当の学問をすれば、人相も良くなり、運も良くなる、すべてが良くなるのであります。
「運も相も学も結局は学問に外ならない。
平成19年3月5日
鳥取木鶏研究会 徳永圀典