37日 街頭所見

 市外を右往左往しておる人間の顔は不機嫌な、品の無いものである。朗らかなもの、希望に満ちたもの、確信を持ったものなどは、その相貌から少なくなってしまって、特にモーターつきの乗り物、自動車や自転車を運転しておる人々の中には、その相貌がすっかり機械に同化して硬直し、虚脱して前方をにらんである。空中を一直線にぶーんと飛んでゆく昆虫を連想させるものもある。  

フランク。ティース ドイツ歴史家