菜根譚

道徳に棲守(せいしゅ)する者は、一時に寂寞(せきばく)たり。

権勢に依阿(いあ)する者は、万古(ばんこ)に清涼たり。

達人は物外の物を()、身後の身を思う。

むしろ、一時の寂寞を受くるも、万古の清涼を取ること勿れ。 

「真理を守る人は、寂しくも一時。権力に(へつら)えば、末代の名折れ。

悟った人は物にとらわれず、なき後のわが身を思う。

いっそ、一時は寂しかろうと、末代名折れの真似はすまいぞ」