平成30年を回顧する
遂に平成30年が終わった。ざっと回顧してみる。
1. 30年前、私は住友を引退、ふそう銀行代表取締役常務57才。平成当初は日本はバブル景気真っ最中。
2. 中国は天安門事件。
3. ドイツはベルリンの壁崩壊。
4. ソ連は消滅。社会主義システム総崩れ、自由主義経済が世界中に行き渡る。
5. そしてバブル崩壊の日本は一転して暗転。20年以上続くデフレと不況。
6. 阪神大市震災、東北大震災、津波と原発事故という未曽有の危機。
僅か30年の間に社会がこまで変化した時代は歴史的にも稀であります。
平成元年12月株の終値は38915円87銭。これがピークです。9か月で半値となりました。
民主党内閣の株価、7000円台でした。
平成30年終値は
日本の金融危機はアジアの通貨危機と連動しました。
平成11年三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券、徳陽シティ銀行が相次いで倒産。
金融機関は不良債権の闇の深さに決断できず、アメリカ政府の介入危機を招いた。
クリントン政権のサマーズ財務副長官らが来日、傲岸なサマーズは「日銀に金融不安を解決できない」と考えていた。
当時の総裁は速水氏、問題の日本長期信用銀行の実態の分かる資料を速水総裁は見せると約束した。
この長銀にはアメリカ政府も重大な関心を寄せていた。この時、安斎隆という担当理事の処にサマーズの部下のガイトナーという財務長官になった男が来た。
安斎氏「あなたには見せられない。速水総裁が見せると約束したのはサマーズだ」と拒否した。
「この問題はアメリカに口出しされる問題ではない。私たち日本人が解決すべき問題」と考えたサムライ安斎氏。
安斎氏曰く、アメリカでは当局と民間が結託していることがあると告白している。
この精神が無いから教科書問題でもずるずると押し込まれた日本の現場当事者。
この頃、日本の銀行が資本不足との記事が出る。三菱銀行と住友銀行のトップが抗議に日銀に行く。安斎氏の回顧、特に住友銀行の西川頭取など「激しく怒り、あんたらは共産主義者か」と言わんばかりだったと。
さて、現在平成29年末ですが、
日銀の国債保有額は450兆円。日銀が国家に約450兆円も貸与している。
国はその金を国民や企業にバラ撒き、その金は民間銀行の預金となり、民間銀行は自分で運用できず、再び日銀ら預入れられている。
ここまで「金をダブつかせれば、小さな金融機関は貸出先を見つけられず窮地に追い込まれている。
こんな言葉がある。
「賢い人間は同じ過ちを犯さない。しかし世代が変われば、その子は親と同じ過ちを犯す・それが人間の業なのだ」
だから
「歴史は繰り返す」だから「人間の学問は歴史に極まる」と荻生徂徠。
平成という時代は
社会主義の崩壊と共に始まった。その平成が終わろうとしている。日銀は、歴史に逆行して社会主義的中央銀行に近い。
当局の過度な政策介入は結局、金融システムを毀損してしまう。
いつまでも景気対策は終わりそうにありませんですね。
本当に政治家の言葉ほど、耳障りが良いだけで、誰も信じていないのではなかろうか。
都合の悪いことでも、本音で語れるリーダーが登場しなくては日本は危ない。それは停滞と没落であります。
平成31年1月7日
徳永日本学研究所 代表 徳永圀典