33.            平等寺付近

 わが(ころも)(いろ)に染めなむうまさけ

      三室(みむろ)の山はもみぢしにけり

        柿本人麻呂 万葉集 巻7-1094

  三輪山の木々が美しく紅葉してきた。私の衣をその美しい色でそめよう。

徳永註

うま−さけ 【味酒・旨酒】枕詞

味のよい上等な酒を「神酒(みわ)(=神にささげる酒)」にすることから、「神酒(みわ)」と同音の地名「三輪(みわ)」に、また、「三輪山」のある地名「三室(みむろ)」「三諸(みもろ)」などにかかる。「うまさけ三輪の山」。参考枕詞としては「うまさけの」「うまさけを」の形でも用いる。