最後に、

民族とは精神であります

 私は、日本とか中国の栄枯盛衰の歴史を学び、また近代日本の変遷をつぶさに身を以て体験して参りました。

戦前・戦中・戦後と激変した日本の時勢を身を以て体験して、今もその歴史を体験中なのでありますが、

そういう体験に照らして、今日の日本、明日の日本というものを考えた時、なんとも言い知れぬ大きな危惧を抱かざるを得ないのであります。 

 まかり間違ったならば、恐らく近未来には日本は収拾すべからざる混乱に陥って相当期間、暗黒時代・恐怖時代が来ないとも限らない。 

もしそのような場合に陥った時、いかにしてこの日本の民族・国民は救われるか。これはもう精神でなければ救われません。絶対に物質では駄目であります。 

 あの名高いギボンの書いた「ローマ帝国衰亡史」という名著があります。彼はその中でつぶさにローマ帝国の衰亡の史実を検討して、その結論の一つとして、民族とは何ぞや、民族とは精神である、と言うことを論断しております。

つまり形のある民族というものは実に頼りないものだと言うのである。 

例えば、ユダヤ民族、彼らは、三度も祖国を失い、約2〇〇〇年ものあいだ世界を流浪し、行く先々で迫害を受けました。それにもかかわらず民族の純粋性を保ち、滅びず、ついに20世紀になってパレスチナへ帰還し、祖国を再建したのです。 

それが建国できたのはなぜか、世界各地でバラバラになっていても子孫に自分の国の言語と民族の神を伝えたからです。 

伝統の断絶をしなかったのです。日本人は伝統の断絶を起しています。やたらと英語のカタカナが蔓延しています。外国文化の導入には「和魂」が必要なのですが和魂が喪失しています。明治時代にはありました。

現代日本は危ないのです。  

世界の学問の一つの発祥地であるギリシャにしても、その文化の遺産は今日も遺っておりますけれども、ギリシャ民族は、今日あると言ってよいのか、無いと言ってよいのか、わからぬ程に民族の血のつながりと言うものは無くなってしまっております。 

ローマもまた然りであります。英雄シーザーやプル-タスのあのローマ人は、もはや今日亡んでおるといって宜しい。 

要するに、これはみな精神的頽廃によって亡んでおるのであります。どんな学問をするとか、どんな産物を出すとか、或はどんなに経済を開発するとか、というような事は、現実的には重大な問題に違いないけれども、日本永遠から言うならば、そういうものは極めて儚いものであります。

 

何が民族であるか、という民族の第一義に立てば、いかにして民族精神を養ったか、ということが民族の全てであって、これはもう古くから先哲の言うことでありますけれども、長い目でみると結局は精神に帰するのであります。

鳥取木鶏会は、こう言うような事を学んでおるのであります。 

でありますから、今回の本の冒頭にも「精神の作興」――奮い立て、と叫んでおるのであります。 

戦争に負けるとはどういうことかの実感が無い国民が多数を占めています。 

国あっての個人です。立派で強い国にしなければやられてしまうのは外交だけではありません、経済でもそうですね。日本はそういう意味で、今ほど切実に敗戦国だなと思う國際情勢です。

 

現在は、日本再生の最後の残された時間なのだと思います。 

それには、

戦後の自逆史観から抜け出し、本当の歴史の真実を見つめなおし、国史を学ぶこと、そして、忘れていた「和魂」を取り戻すことです。 

立派な祖先は自宅の仏壇を拝むことだけではありません、日本歴史の先祖を学ぶことにあります。 

和魂があったから明治時代に成功したことを思い起こしたいものであります。

それは規律と犠牲の精神とも言えます。  

 アラブはイスラム教、イスラエルはユダヤ教、そして、アングロサクソンはキリスト教。これら唯一絶対神は異教徒を迫害する歴史を有する。彼らは「目には目を」で、相手がダウンするまで徹底的にやる。

 アングロサクソン、特にアメリカ主導の市場経済は唯一絶対神的なゴッド流だ。一神教民族は排他的独善的で、異教徒を徹底的に弾圧したのは歴史が示すところである。テロは断じて許されないが、中東の現状、アメリカ市場経済の在り様を見ると、流血の歴史を想起せざるを得ない。
 どうやら、地球規模で見られる矛盾、地域紛争、環境悪化、宗教問題抗争などはすべて西洋文明の原理から生み出されている。

 日本の神様は自然崇拝であり、感謝の神であり、本質は森羅万象共存の精神であり、ゴッドと根本的に違う。
 また、日本の神様は森羅万象すべてに神を感じて尊敬し、平和的である。地球に存在するすべて、存在そのものを受容する。この心、すべての存在を敬の対象とする日本の神こそ、人類を、世界、あるいは地球を救済できる究極の原理だと思う。

『親日派のための弁明』の著者、韓国人の金完燮(キムワンソプ)氏も言う。
日本の神道は人類が作り出した最も理想的な形の宗教だ」と。


 冷静に世界の現実と、ここ五百年の白人中心世界史を広く見れば確信的にそう思える。この日本の神の心が二十一世紀の主たる精神原理とならなければ、人類は救い難いのではないか。 終りに近づいてきました。 

どなたか本日の誕生日のお方はおられますか。誕生歌で終わる。 

ご清聴まことに有難うございました。