六つの社会的錯誤 

六錯(ろくさく)

(しゃ)を以て福ありと為す。()を以て智ありと為す。(どん)を以て為すありと為す。(きょう)を以て(しゅ)ありと為す。(そう)を以て気ありと為す。(いかり)を以て()ありと為す。 (格言聯壁(かくげんれんぺき)) 

口語訳

贅沢をして幸福であると思うのは誤りである。

うまく人を騙して自分は頭がよいと思うのはいけない。

貪欲の結果、物をあつめて自分にそれだけの手腕があると思うのはいけない。

小心で、ちょっとした事にも怖れている者が慎重派だというのは誤りである。

喧嘩ばかりしていながら自分には勇気がある等というのはいけない。

上に立つ者が下の者を叱りつけて、いかにも威厳があると思うのは誤りである。 

現代の世相を眺めますと、この六錯の人が極めて多く、この人達が社会を誤らせておると申してもよいと思います。 

誤りを誤りとせず、却って自分の手腕としたり、人を騙して自分は頭がよいなどと考えることは許されぬことでありますが、毎日の新聞やテレビのニュースなどを見ておりますと、これらの者の犯罪があとを絶ちません。誠に困ったことであります。

これを正さなければ日本は救われません。 

            安岡正篤先生の言葉