4月10日 現代は重宝せぬ深沈厚重
どっしりと深く沈潜して、厚み・重みがあると云うのは、これは人間としての第一等の資質である。大きな石がごろごろしておるように、線が太くて物事にこだわらず、器量があるというのは、これは第二等の資質である。頭が良くて才があり、弁が立つというのは、これは第三等の資質である。
大抵はこの順序を逆に考えて、聡明才弁が一番偉くて、深沈厚重をまるで鈍物のように思う。が、それは世俗のことでありまして、本当はここに言われておる通りであります。聡明才弁の人は、とかく鋭角的になりすぎる。 呻吟語を読む